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April 27, 2016

小森敦司「日本はなぜ脱原発できないのか」

買いました。

書名:日本はなぜ脱原発できないのか 「原子力村」という利権
著者:小森敦司
出版:平凡社新書(2016年2月第1刷)


《目次》

はじめに

プロローグ 事故後の反省記事

/経産官僚の天下り/福島への電力依存/

第1章 「村」に切り込む

1 伏魔殿と広大な裾野
/原子力部門は「伏魔殿」/各界を巻き込む広大な裾野/封じ込められた自由化/東電出身議員の反論/

2 菅首相と経産省の確執
/危機感募らせる経産省/菅首相は虎の尾を踏んだ?/
…エネルギー政策の企画・立案は従来、経済産業省が担ってきた。菅はいま、エネルギー政策の見直しを、電力業界を所管する経産省ではなく、官邸主導で進めようとしている。実現会議の事務局は、内閣官房の国家戦略室。
そんな首相に経産省は危機感を募らせた。エネルギー行政は、経産省の「一丁目一番地」。勝手なことをさせるわけにはいかない。焦る経産省は、国家戦略室にいる出向者との連携を強め、巻き返しをねらう。…
…経産省は、なぜエネルギー政策の主導権を求めようとするのか。背後には、電力の安定的な供給や電力業界を取り巻く秩序の維持を求める産業界の意向がある。
産業界の中で、電力会社の存在感は大きい。経団連の副会長ポストは、原発事故かが起きるまで、東京電力の指定席。元社長の平岩外四は第7代経団連会長だ。地域の経済団体トップも、ほとんどが電力会社の会長。力の源泉は、巨額の設備投資にある。
電力10社の2009年度の設備投資額は計約2兆円。1993年度には5兆円近くに達した。大手電機メーカーやゼネコンに発注するだけでなく、地域経済も潤す。…

3 更迭劇の裏で
/事務次官の太鼓判/またも天下り/総括原価にメス/

第2章 強大な利権構造

1 強固な岩盤、地方の隅々に
/知事の資金源に/公約実現にも電力マネー/

2 再稼動に動く複合体
/「村」の再始動宣言/ないがしろにされた「原発ゼロ」/

3 政権交代で勢いづく
/増える電力族/揺れる首長/自民・民主連合で原発ゼロに対抗/集う推進派/

第3章 「国策」の果てに

1 知らぬ間に国民転嫁
/事故対策費で原発は割高に/賠償金などを国民に転嫁/事故処理費は取りやすいところから/

2 拡がる民意との乖離
/パブコメを独自分析/9割占めた脱原発/経産省の苦しい言い訳/原発維持・推進は1%/

3 変わらない推進構造
/電源三法の仕組み/地方で続く原発依存/廃炉後の課題/一体化した官と民/カネを地方に逆流させる/電力自由化と原発の両立は可能か/民主党にも「族」議員/

第4章 4人の経産官僚

1 再稼動シナリオを書いた次長
/「止めるなど、ありえません」/対外秘のペーパー/「ムードで止めるな」/国が原発を支える体制/

2 官邸入りした元原子力課長
/一本釣りで秘書官に/19兆円の請求書/六ヶ所村長の苦情/戦車のような進め方/

3 霞が関に舞い戻ったエリート
/「あなたにシナリオを書いてほしい」/原発の本当のコストは/「安い電源」神話崩壊/骨抜きにされた原発ゼロ/87%が「ゼロ」望んだ/

4 村長と呼ばれた元次官
/天下り批判「心外だ」/違反50件に「徳政令」/「日の丸」の旗振り役/原発役人の責任はどこに/

第5章 残る原発のごみ

1 モンゴルの大地に
/モンゴルの仮面青年/ウラン残土のボタ山/ウラン供給も後始末も/

2 六ヶ所村の拒否権
/村で生き残る唯一の選択肢/「核燃撤退」を覆した村/「結局はおカネでしょ」/

3 「全量再処理」にはねかえされた研究者
/本丸に挑んだ異端者/記録に残った圧力/つぶされた試み/

4 止まらない「サイクル」
/幻の再処理中止協議/族議員によるつるし上げ/日本原燃の反論/小泉元首相の訴え/

第6章 買われたメディア

1 癒着が事故で明らかに
/消えた東電情報誌/取り込まれた元論説主幹/再就職した記者たち/中国ツアーの発覚/サロンの背後の「カネ」/

2 取り込まれ、一体化して
/「エネルギー大政翼賛会」/再稼動提言に携わるマスコミ重鎮/電力会社から民放の役員・審議委員に/記者クラブの価値/反原発の動きを監視/

3 広告宣伝費の威力
/朝日の原発関連広告/増える原発広告/営業からの「抗議」/発売中止にされた歌/「営業ルートで抗議しています」/広告塔の対価/原価から除外へ/

…「素晴らしすぎて発売できません」
1988年6月22日の朝日新聞の商況面に不思議な広告が載った。人気ロックグループのレコードの発売中止について、東芝EMI(当時)がそんな言葉で明らかにした。
レコードは、RCサクセションのシングル「ラヴ・ミー・テンダー」とアルバム『COVERS』。…
…この広告掲載後、「御質問は一切御返事を差し控えさせていただきたい」といったコメントしか出さなかった東芝EMI。
福島の原発事故後の11年8月の毎日新聞記事によると、当時の邦楽部門の最高責任者が取材にこう語ったという。
「すごい圧力はなかったと思いますが、子会社が自粛したような格好だったかな」
東芝EMIには、東芝が出資していた。…
結局、レコードは別会社から出された。…当時の東芝EMIの責任者への取材は断られた。…

4 その額、2兆4千億円


あとがき

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