メキシコ政府、米国への麻薬王引き渡しに同意
2016年05月21日 15:14 発信地:メキシコ市/メキシコ
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【5月21日 AFP】メキシコ当局は20日、同国最大の麻薬密売組織「シナロア・カルテル(Sinaloa Cartel)」の元最高幹部で「エル・チャポ(El Chapo)」の通称で知られるホアキン・グスマン(Joaquin Guzman)受刑者(59)の身柄を米国に引き渡すことに同意した。メキシコ外務省が明らかにした。グスマン受刑者は米国で薬物取引とマネーロンダリング、殺人の罪で裁判にかけられることになる。
メキシコのエンリケ・ペニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領は当初、グスマン受刑者の米国送還に消極的だったが、昨年7月、グスマン受刑者が厳戒警備の刑務所から劇的な方法で脱獄し、今年1月に当局に再拘束されて以降は身柄を早く米国へ引き渡すよう検察当局に指示していた。
メキシコ外務省は声明で、グスマン受刑者の身柄を米国へ引き渡すことにメキシコ政府が同意したことを発表。グスマン受刑者はメキシコの法律では有罪になっても死刑にならないが、米国でも死刑判決は受けないという確約を米政府から取り付けたため、引き渡しに応じたと説明している。
AFPの取材に応じたグスマン受刑者の弁護士、ホルヘ・レフュージオ・ロドリゲス(Jorge Refugio Rodriguez)氏は、米国の刑務所で良好な環境が提供されるという交換条件であれば、同受刑者は罪を認めるつもりだと述べた。
しかし、今月9日にAFPの取材に応じた米政府関係者は、米政府はグスマン受刑者との司法取引には応じないだろうと述べ、また身柄の引き渡しは年内に行われるとの見通しを示した。(c)AFP/Leticia PINEDA