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【大相撲】

白鵬 稀勢の里との全勝対決を制す あえて敵が得意の左四つで

2016年5月21日 紙面から

白鵬(左)が下手投げで稀勢の里を下す=両国国技館で(河口貞史撮影)

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◇夏場所<13日目>

 (20日・両国国技館)

 横綱白鵬(31)=宮城野=が大関稀勢の里(29)=田子ノ浦=との全勝対決を左下手投げで制して単独トップに立った。白鵬が14日目に横綱日馬富士に勝ち、稀勢の里が横綱鶴竜に敗れれば、自身の持つ史上最多記録を更新する2場所連続37度目の優勝が決まる。日馬富士は鶴竜に寄り切られて3敗目を喫し、優勝の可能性がなくなった。鶴竜は10勝目。十両は千代の国と佐藤が2敗で首位を守った。

 白鵬は試した。横綱になる宿命を、稀勢の里は持っているのか。立ち合いで右から張ると、得意の右四つではなく、あえて稀勢の里が得意とする左四つに組んだ。

 「勝つなら勝ってみいー、というね。それで横綱になってみろ、という感じでいきました」

 白鵬は左の下手は引いたが、どうしても上手が取れない。稀勢の里には上手も下手も引かれ、苦しい体勢に。そんな状況を楽しんだ。受けて立つ? 「そんな感じがしたねえ」。すぐに稀勢の里の下手を切る。右へ体を開きながら下手投げ。稀勢の里コールに沸いた館内は悲鳴に包まれた。

 「まあ、相撲の神様が私の方にほほ笑んでくれたとしか思えないね。きょうの一番、(稀勢の里に)勝っていいんだよという感じだったけど、勝てなかったからね。何か足りないんだろうねえ」

 何が足りないのだろうか。「ここまできたら分かんないね」。一度はそう答えたが、続きがあった。「誰かが言っていました。強い人は大関になる。宿命がある人が横綱になると。横綱白鵬を倒すのは、日ごろの生活や行いがよくなければ。それしか今は思いつかないね」。白鵬と稀勢の里を隔てる壁は、そこまで厚いということか。

 大一番を迎えた朝。初日から一日も休まず稽古をしてきた白鵬が、初めて稽古場に姿を見せなかった。師匠の宮城野親方(元幕内竹葉山)は白鵬の付け人に「何で起こさないんだ」と注意。それだけの余裕があったということだ。

 これで単独トップに立った。14日目に日馬富士をくだし、結びで稀勢の里が負ければ37回目の優勝が決まる。それもあるが、これで先場所から27連勝。どこまで連勝が伸びるのか。通算勝ち星も985勝目。次の名古屋場所で1000勝に挑む権利も得た。興味は尽きない。(岸本隆)

 

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