地球全体の大気中の二酸化炭素(CO2)の月平均濃度が初めて400PPM(PPMは100万分の1)を上回ったことが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)などによる人工衛星の観測で判明した。地球温暖化を抑制するために、CO2を削減する国際的な取り組みが進んでいるが、濃度の上昇が止まっていないことが明らかになった。
JAXAと環境省、国立環境研究所が、温室効果ガス観測衛星「いぶき」を使って観測した。
「いぶき」は2009年から、高度70キロメートルまでの大気中のCO2濃度を継続的に測定している。データを解析したところ、15年12月の月平均濃度が400.2PPMと初めて400PPMを超えていたことがわかった。
昨年12月に採択された地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」では、21世紀末までの気温上昇を、従来の目標値である2度よりも十分に低く抑え、1.5度までとするよう努力するとの目標を盛り込んだ。
国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、産業革命以前と比べた気温の上昇を2度以内にするだけでも、CO2濃度を約450PPMまでに抑える必要があるとしている。国立環境研の横田達也フェローは「今のままの増加ペースでは、あと20~30年で450PPMに達してしまう」と話した。