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蟹江の酒蔵にベビーメタル特需 「最愛」に注文殺到

「最愛」を前に、思いがけない「特需」について語る先代の山田直樹さん=蟹江町須成で

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 蟹江町須成の小さな酒蔵「山田酒造」が、思いがけない「特需」に沸いている。主力銘柄の一つ、特別純米酒「最愛」を求めて、関東や関西などから買い求める人が急増しているのだ。その訳は、国内外で人気を誇るメタルダンスユニット「BABYMETAL(ベビーメタル)」のメンバーの名前と同じだかららしい。酒造の関係者は「日本酒が飲まれなくなってきている時代にうれしい話だ」と驚く。

 五月中旬、五代目の山田真裕さん(48)はパソコンを開き、届いていた注文メールに目をやった。「きょうも一件、来てるよ」

 県産の酒造好適米を使い、十五年前に誕生した最愛は長年、町内などの酒屋に卸していただけで、インターネット注文などは一件もなかった。それが現在は、県酒造組合を通したインターネット注文は直近五カ月間で五十件超に。山田さんは「宅配便で送ることが本当に増えたよ」。

 変化の兆しは昨年の秋ごろにあった。最愛を買い求めに、横浜市の若い男性が山田酒造を訪ねてきた。住宅地にある小さな酒蔵に、これまで遠方から買い求めに来る人はなく、先代の直樹さん(76)が理由を尋ねると、男性は「ベビーメタルのメンバーの一人、MOAMETAL(モアメタル、本名・菊地最愛(もあ)さん)のファンで」と答えた。

 「漢字で書いたときの名前が同じだけなのに…。不思議なこともあるもんだ」と直樹さん。一過性かと思いきや、熱心なファンは後を絶たなかった。インターネットを通じて、ファンの間で山田酒造の存在が広まった。山田酒造は「最愛」と書かれたおちょこも販売しているが、それを百個購入していった男性ファンもいたという。

 日本酒(清酒)の国内消費は一九七五(昭和五十)年をピークに、下降線をたどっているだけに、「小さな酒蔵が造るお酒に興味を持ってもらえるのはありがたい」と直樹さん。「ただ、中身もちゃんと味わって、選んでもらいたいね」とはにかんだ。

 特別純米酒・最愛は一・八リットルで税抜き二千二百円。(問)山田酒造=0567(95)2048

 (酒井博章)

 <ベビーメタル> 2010年に結成した日本人女性3人組のメタルダンスユニット。「アイドル」と「ヘビーメタル」という異色の組み合わせで国内外で人気を集める。4月に世界同時発売したアルバム「METAL RESISTANCE」は米国ビルボードの総合チャートで39位に入った。日本人歌手が40位以内にチャートインしたのは、1963年の故坂本九さんの「上を向いて歩こう」が14位を記録して以来で話題となった。メンバーのうちMOAMETALさんは愛知県出身。

 

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