今日はヒトデ祭りだぞ!

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今日はヒトデ祭りだぞ!

主に勢いに任せた雑記

おばあさんが失恋しているので中々話が進まない桃太郎

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桃太郎

 

別れ

昔々あるところにおばあさんが住んでいました

おじいさんはいません。別れました

涙を流すおばあさんに、さよならと言ったおじいさんの気持ちはわかりません

おばあさんは1つだけ強がりを言いました
本当に、本当に、おじいさんの事が好きだから

「もう恋何てしないなんて 言わないよ 絶対」

川へ

涙を拭ったおばあさんは、山で芝刈りをしてから川へ洗濯に向かいました

洗濯を終えたおばあさんが、想いを紡いだ言葉まで影を背負わすのならば海の底で物言わぬ貝になりたい、と思いながら川を眺めていると、大きな桃がひらりひらりと舞い遊ぶように流れてきました
夏の昼の真ん中太陽の下。喜びとしてのピンク。憂いを帯びたピンクに。夜の果てに似ているピンクの皮

おばあさんはそれをいつもより少し広く感じる狭いワンルーム(それはまるで心の隙間を広げるよう)に持ち帰りました。ほんの一分一秒が少し長く感じます

もう二度と戻れないの?
ここは始まりか、終わりか

おばあさんは孤独の痛みで償いをするので、どうかおじいさんの記憶にそっといさせて欲しいと願いました

記憶

いつもより少し眺めの良い左に戸惑いながらも桃を割ると、何と中から赤ん坊が出てきました

そんな状況でも、おばあさんは初めておじいさんと薪を割った日の事を思い出していました

おばあさんは怖いくらいに覚えています
おじいさんの匂いや、しぐさや、全てを

おかしいでしょう? そういって笑ってよ
別れているのにおじいさんの事ばかり……

今はただおじいさん
おじいさんのことだけで

 

おじいさんのことばかり……

震え

悲しみに浸りながらもおばあさんは産まれた赤ん坊に「桃太郎」と名付けました

何故ならおじいさんならそういった名前を付けると思ったからです。おじいさんは付き合った当初から少し安直な所がありました。そんなところすらおばあさんは「かわいい」と思っていました。そんな性格も、何でも知っています

そうです。おばあさんはおじいさんの事なら何でも知っているのです

 

Baby I know

誰よりおじいさんの全てを知っているのに

でもどうしてもあの子じゃなきゃだめなの?

So tell me why

 

おばあさんはおじいさんに会いたくて会いたくて震えました

おじいさんを思うほどに、遠く感じてしまいます……

 

続く

(続かない)