2012年に米国ロサンゼルスのマリブ・ビーチで、ライフガードとして働き始めた「Emily」は現在、軍で海洋レスキューとしても活動しています。といっても、Emilyは人間ではありません。ケブラーと航空機向けの軽量素材で構成されたリモコンロボットです。
本体はそのままフロートとして機能するため、溺れそうな人は目の前に現れたカマボコ型ロボットにしがみつくだけでとりあえずの安全確保が可能。浮力も強く、Emily1台に大人8人が群がっても沈むことはありません。
このEmilyは、もともとは米海軍の研究プログラムとして開発が始まったもの。2012年にロサンゼルスのマリブ・ビーチではじめてテスト導入され、その急行能力と操縦のしやすさなどから、現在は稼働数を4台にまで増やしています。
さらにテキサスA&M研究チームとギリシャ沿岸警備隊の協力によって、シリア難民の救助にも投入。約300人もの救助に貢献しました。
レスボス島岸にたどり着いたシリア難民の傍らで、万が一に備えるEmily
Emilyは実績を積む中で改良が続けられており、最新モデルでは双方向の無線通話機能を備え、レスキューからの呼びかけによって要救助者を落ち着かせることができるようになりました。さらに夜間救出用ライトとスマートフォンへのビデオストリーミング機能も備えたとしています。合わせて推進力も強化しています。
こうした実績はありますが、現在のところ米海軍にはEmilyを正式採用する予定はないとのこと。しかし製造販売を担当するメーカーHydronalixは手応えを感じており、日本、英国、フランス、韓国、シンガポールその他の国や地域で順次Emilyの販売を開始するとしています。
[Image : Office of Naval Research]