中国で偽クラゲ、業者摘発 10トン以上が流通
- 2016年05月10日
マーティン・イップ、BBC中国語
中国東部浙江省の警察当局は、クラゲを偽装していた業者2社を摘発した。10トン以上の偽クラゲを市場に流通させ、17万人民元(約300万円)以上の利益を得ていたとされる。
捜査を主導する湖州市の警察によると、地元の生産者市場で偽クラゲを売っていた「ユアン容疑者」の工場を最初に発見。隣接する江蘇省常州市にさらに大規模な工場があるのを教えられ、工場を運営する「ジア容疑者」と関係者を4月に逮捕したという。
調べによると、ユアン容疑者はアルギン酸、アンモニウムミョウバン、無水塩化カルシウムを混ぜ合わせて偽クラゲを製造。偽クラゲからは1キロあたり800ミリグラム、中国の基準値上限の8倍に相当する「過剰な」アルミニウムが検出されたという。
湖州市警の食品・薬品安全担当課によると、アルミの過剰摂取は骨や神経に悪影響を与え、記憶障害を引き起こす可能性がある。妊婦や子供、高齢者は摂取を控えるべきだと警察は注意を促している。
クラゲは毒を持ち、刺されるとしびれるなど危険だが、中華料理では定番の食材で、良いコラーゲン源だとも言われる。
野生のクラゲだけでは需要に応えきれず、浙江省の地元紙によると省内には複数の養殖場がある。報道によると、500グラムのクラゲを育てるには40日かかり、卸値は30~40元。偽装クラゲの費用はその半分だ。
湖州市警によると、偽装クラゲは無味無臭で固く、セロハンテープに似た感触だが、本物は魚臭く黄色味を帯びている。
中国で偽装クラゲ業者が摘発されるのは初めてではなく、2014年11月には湖州市警が同じような薬品を組み合わせて作っていた3人を逮捕している。2013年10月には湖南省の警察が、40トンの偽クラゲを作ったとされるシンジケートを摘発。この時の主犯格は禁錮6カ月の実刑判決を受けた。