【WCS2015世界第6位】メガサナグッドスタッフ
Scar’s 6th Place Pokemon WCS2015 Team “Mega-Gardevoir with Good Staff”
8月21日から23日までボストンにて開催されたWCS2015にて、世界第6位となった構築を完成に至るまでの経緯などを踏まえながら紹介します。
今回、私にとっては昨年に続き2度目の世界大会でした。昨年の経験を踏まえ「バレていても強い」構築を目指しました。選出の段階から、択を押し付けることができる「電磁波」と「トリックルーム」の2つの素早さ操作を取りいれることを決めました。そこで、2ヶ月ほど前からメガボーマンダを中心とした構築を考えており、日本を出発する1週間前まではその構築を使うつもりでいました。その構築が以下の6匹になります。
非常に単体性能の高い6匹をうまくまとめることが出来、自信のある構築でもありましたが、7月中旬以降、殆どポケモンをプレイすることが出来なくて、出発1週間前に最終調整を始めたところ、全然勝つことが出来ず大きな焦りを感じていました。勝てなかった理由の1つが、単純な調整不足と同時にボーマンダというポケモンが構築の核でありながら、4倍弱点を持った非常にデリケートなポケモンで、立ち回りが窮屈になってしまっていたことでした。特に、知らぬ間に環境に増えていたミロカロスに対してどうすることも出来ませんでした。そこで急遽ガルーラスタンを構築することにしました。CHALK(クレセリア、ヒードラン、モロバレル、ランドロス、ガルーラ)という組み合わせを試してみましたが、私はこのルールでガルーラを使った機会が圧倒的に少なく、ガルーラミラーの対戦の際にはその経験不足が不利に働くと考えました。そこで最終的に友人と相談した結果、3月からずっと使っていて、私が最も使い慣れているメガサーナイトを軸とした構築を使うことに決定しました。メガサーナイトを使うと最終判断を決めたのは、日本を出発する当日の出来事でした。
しかし、私が持っているメガサーナイトの構築は全てブログで公開してしまっている他、ジャパンカップや日本代表決定戦といった国内の1本勝負形式のルールに向けて作った構築であったため、不安要素も多く、いくつかの修正が必要でした。今回ベースとしたのは、3月のヴィクトリアリーグトウキョーで3位を獲得したときの構築です。
【ヴィクトリアリーグトウキョー3位】サナバレルスイッチ少なくともDay1はこの6匹を使って戦うことに決めました。サーナイト以外の全てのポケモンの技と配分を変更しました。そして完成したのが以下の構築です。
【WCS2015 Day1 使用構築】サナバレルスイッチver.2.0
ポケモン | 持ち物 | 特性 | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 |
サーナイト | サーナイトナイト | トレース →フェアリースキン | ハイパーボイス | サイコキネシス | トリックルーム | まもる |
モロバレル | ゴツゴツメット | さいせいりょく | ギガドレイン | キノコのほうし | いかりのこな | まもる |
化身ボルトロス | たべのこし | いたずらごころ | 10まんボルト | でんじは | いばる | まもる |
霊獣ランドロス | いのちのたま | いかく | じしん | いわなだれ | はたきおとす | まもる |
ヒードラン | シュカのみ | もらいび | ねっぷう | だいちのちから | めざめるパワー | まもる |
マリルリ | オボンのみ | ちからもち | アクアジェット | はたきおとす | はらだいこ | まもる |
※個別解説は割愛します
この中で使われているボルトロスとヒードランは、前述したメガボーマンダの構築で使っていた個体です。非常に単体性能が高く、とても気に入っていました。トリックルームへの依存度を少なくし、ボルトロスを中心とした展開をするために考えた結果この形となりました。最終的に、仮の個体で2試合だけ1本勝負の調整を友人と行って、ボストンへ向かう飛行機の中で育成を済ませ完成させました。
そしてDay1当日、幸いにも4勝2敗という結果でギリギリながら、Day2へ進出することが出来ました。今まで私が使ってきたメガサーナイト構築は、トリックルームへの依存度が高く、電磁波軸を中心とした動き方には不安も大きかったのですが、対戦をこなすごとに慣れてきて、なんとか4勝することが出来ました。電磁波での展開を見せることによって、得意のトリックルームでの展開も非常に機能していて、「電磁波」と「トリックルーム」の2つの素早さ操作を組み込んだ構築を目指したことは間違っていませんでした。それと同時に、いくつかの大きな問題点も見つかりました。リザードン+ワイドガードの並びを崩し切れないこと、対リザードン以外でマリルリを選出できていないこと、Day1では当たらなかったものの雨パーティーに大して勝てるビジョンが見えないこと。幸いにもDay1とDay2で構築を変更することができたので、Day1が終わったあとすぐに構築の修正にとりかかりました。選出率の低いマリルリを、天候を書き換えることが出来るバンギラスに変更をすることはすぐに決まりました。最初は他のポケモンは一切変更せずに、一般的な技構成のこだわりスカーフバンギラスを使用することを考えていました。しかし、これでは最初に挙げた問題点であるリザードン+ワイドガードの問題が解決したとも言えず、対雨パーティについてもスカーフ以外のニョロトノに対して、天候の取り合いで不利になるという問題点が発生しました。またトリックルームともアンチシナジーでした。そこで、前述したメガボーマンダの構築で命の珠バンギラスを使っていて、「電磁波」「トリックルーム」どちらとも相性が良く、これがとても強かったことを思い出し、そのまま採用することを決定しました。バンギラスに命の珠を持たせることが決まったため、ランドロスの型を変更する必要が出てきましたが、リザードン+ワイドガードの並びを崩すために単体岩技の採用を決めました。岩雪崩を切るかどうかも迷ったのですが、電磁波との組み合わせにも優れ、岩雪崩を採用しない理由もなかったので、岩技を2つ持ったランドロスが誕生しました。技の打ち分けが出来ないランドロスは弱いと考えていたので、持ち物はすぐにとつげきチョッキに決まりました。最後に、単体の岩技ですが、最初は威嚇が入ってもリザードンを倒すことが出来るストーンエッジの使うつもりでした。しかし、命中が不安定であること、汎用性に欠けることから岩石封じを採用することにしました。岩石封じであれば、命中率も高く、中速のポケモンが多いこのパーティーにもマッチしていると考えたからです。こうして最終的にDay2で使用するパーティーが完成したのは、当日の午前8時頃でした、当然ながら、1戦も回す時間もなくぶっつけ本番になっていましたが、いずれも採用理由が明確であったので、イメージは十分にできていました。
前置きが非常に長くなりましたが、Day2で使用したパーティーについて書いていきます。
【WCS2015 世界第6位】メガサナグッドスタッフ
ポケモン | 持ち物 | 特性 | 技1 | 技2 | 技3 | 技4 |
サーナイト | サーナイトナイト | トレース →フェアリースキン | ハイパーボイス | サイコキネシス | トリックルーム | まもる |
モロバレル | ゴツゴツメット | さいせいりょく | ギガドレイン | キノコのほうし | いかりのこな | まもる |
化身ボルトロス | オボンのみ | いたずらごころ | 10まんボルト | でんじは | いばる | まもる |
霊獣ランドロス | とつげきチョッキ | いかく | じしん | いわなだれ | はたきおとす | がんせきふうじ |
ヒードラン | シュカのみ | もらいび | ねっぷう | だいちのちから | めざめるパワー | まもる |
バンギラス | いのちのたま | すなおこし | いわなだれ | かみくだく | けたぐり | まもる |
それでは、個別解説をしていきます。
サーナイト
持ち物:サーナイトナイト
特性:トレース→フェアリースキン
性格:ひかえめ
メガ進化前:H175(252)-B100(116)-C176(116)-D136(4)-S103(20)
メガ進化後:H175(252)-B100(116)-C220(116)-D156(4)-S123(20)
技:ハイパーボイス/サイコキネシス/トリックルーム/まもる
・ハイパーボイスでH181-D120ガルーラを確定2発
・ハイパーボイス+ゴツメダメ2回+捨て身反動でH181-D120ガルーラを確定1発
・ハイパーボイス+ゴツメダメでH141-D90キリキザンを確定1発
・サイコキネシスでH221-D100モロバレルを最低乱数以外1発
・A146ファイアローのこだわりハチマキブレイブバード耐え
・準速70族+1
私が最も好んで使っているサーナイトです。ジャパンカップや日本代表決定戦で使ったものから変えていません。トリックルーム要員として最も使われているクレセリアと違い、トリックルームをした後に、そのまま多くのポケモンに対して大ダメージを与えることが出来る点で、このポケモンはとても高く評価しています。123という素早さは、トリックルーム下では、スタンダードな構築に組み込まれている殆どのポケモンよりも遅く、トリックルームを張る前では、苦手なキリキザンよりも速く、モロバレルのゴツゴツメットと合わせて倒すことができます。一般的に多く使われているサーナイトよりも、物理耐久に厚くしているので、ランドロスの威嚇がなくともある程度の攻撃を耐えることができます。今回、スカーフでない最速バンギラス(素早さ124)と遭遇したときに、かなり苦戦を強いられたので、素早さを125にして使うのもアリかもしれません。Day1,Day2合わせて全試合で選出しました。
モロバレル
持ち物:ゴツゴツメット
特性:さいせいりょく
性格:ずぶとい
H221(252)-x-B122(164)-C105(0)-D112(92)-S38(0) ※S個体値6
技:ギガドレイン/キノコのほうし/いかりのこな/守る
・A177ガルーラの+1親子愛おんがえしを確定耐え
・A112マリルリの+6じゃれつく耐え
・C177ボルトロスのいのちのたまめざめるパワー氷を2耐え
・C155ゲッコウガの珠冷凍ビーム耐え
・C194サザンドラの眼鏡流星群高乱数耐え
・最遅39族(トリトドン)-1
よく見る普通のモロバレルです。努力値配分も私が最も好んでいるもので、ジャパンカップや日保代表決定戦で使ったときと同じ配分です。変更点は、めざめるパワー地面をギガドレインにした点です。このポケモンのめざめるパワー地面も非常に優秀な技ですが、パーティー全体でやや苦手なトリトドンに対する有効打を失ってしまう他、ジャパンカップや代表決定戦で使っていたときと違い、トリックルームへの依存度が低いため、有効に働く場面は減るだろうと判断し、最も一般的なギガドレインに戻しました。「サナバレル」という名称があるよう、メガサーナイトとの並びは非常に優秀で、トリックルーム時のキノコのほうしによる制圧力もまた特筆すべきものがあります。
ボルトロス
持ち物:オボンのみ
特性:いたずらごころ
性格:ひかえめ
H185(244)-x-B95(40)-C165(36)-D120(156)-S135(28) ※B個体値30
技:10まんボルト/でんじは/いばる/まもる
・H167-D126シュカのみヒードランをヒードランのだいちのちからと合わせて確定
・H207-D135スイクンをオボン込み確定2発
・A216ランドロスのいわなだれをオボン込み超高乱数2耐え
・C156ルンパッパの雨+いのちのたまハイドロポンプを超高乱数(15/16)耐え
日本では珍しい、性格ひかえめの化身ボルトロスを使用しました。このポケモンの最も重要な役割は、対雨パーティと高耐久の水タイプ(スイクンやミロカロス)を処理、あるいは妨害することです。そのため特殊耐久をかなり厚めに配分しています。それだけでなく、相手のシュカのみを持ったヒードランの残りのHPを綺麗に倒すことが出来るので、ひかえめでの採用は大正解でした。最初はめざめるパワー氷も選択肢だったのですが、相手のガルーラ+何かなどの並びに対して、猫騙しと合わせて役割を遂行をする前に削られるのを嫌い、まもるを採用しました。いばるという技は、特にサーナイト構築が苦手とするギルガルドに対して非常に有効です。それ以外にも、常に勝ち筋を無理やり作ることが出来、とても優秀な技だと思っています。Day1ではマリルリにオボンのみを持たせていたため、まもるとのシナジーも考えてたべのこしを持たせて使用しましたが、ガルーラの攻撃を耐えることができなくなってしまうため、Day2ではオボンのみを持たせて使用しました。多くのポケモンに威張って、対戦を有利に進めることが出来、非常に良い技構成でした。最後にこれだけは言わせて下さい。「SWAGGER IS GOD!!!!!!!」
ランドロス
持ち物:とつげきチョッキ
特性:いかく
性格:いじっぱり
H165(4)-A215(244)-B111(4)-x-D101(4)-S143(252)
技:じしん/いわなだれ/はたきおとす/がんせきふうじ
・がんせきふうじでH185-B106までのリザードンを1発
・C177ボルトロスのいのちのたまめざめるパワー氷を最高乱数以外耐え
・準速
このポケモンはDay2当日の朝に思いつき採用しました。このルール、特に高いレベルでの対戦では拘ったランドロスはあまり評価をしていません。何故ならば、相手に有効でない技で拘ってしまった場合は隙を見せることになる他、特にとんぼがえりを守られたときには、次のターン確実に交代する(とんぼがえりでの交代を含む)ので、交代読みを容易にしてしまうからです。Day1では、がんせきふうじの枠をまもる、また、いのちのたまを持たせて使用しました。最初はこのポケモンはそのままで、バンギラスにこだわりスカーフなどのアイテムを持たせることを検討していたのですが、どうしてもバンギラスにいのちのたまを持たせたかった他、相手のリザードン+ワイドガードの組み合わせを崩すことが出来る単体岩タイプの技を採用したかったので、自然と4種類の攻撃技を採用出来、技の打ち分けが可能なとつげきチョッキを持たせることにしました。単体岩タイプの技も、最初はストーンエッジを採用する予定でしたが、比較的中速の多いこのパーティでは、がんせきふうじとの相性が良いと考えました。例えば、がんせきふうじ1回でサーナイトは素早さ184(最速116族)までのポケモンを抜くことができるし、ヒードランは相手の最速ヒードランよりも速くなれるため、先制してだいちのちからを打つことができるようになります。配分については、ミラー意識と攻撃力の高いランドロスを評価しているので、殆どを攻撃と素早さに振り切り、相手のボルトロスに1発で倒されないよう最低限必要な分だけ耐久に配分しました。
ヒードラン
持ち物:シュカのみ
特性:もらいび
性格:ひかえめ
H191(196)-x-B133(56)-C200(252)-D126(0)-S98(4) ※B個体値30
技:ねっぷう/だいちのちから/めざめるパワー(氷)/まもる
・H171-D120メガボーマンダをめざめるパワーで超高乱数(15/16)1発
・ボルトロスの10万ボルトと合わせてH167-D126シュカのみヒードランを1発
・A194ランドロスのいのちのたまじしんをシュカのみ込みで高乱数(14/16)耐え
・無振りヒードラン+1
ヒードランは、私がこのルールで最も強いと思っているポケモンの1匹です。安易な受けだしを許さない熱風での削り性能を高く評価しているので、特攻は全て振り切りました。素早さについては、最遅(73)にするか非常に悩んだのですが、これより早いギルガルドはいないと判断し、ギルガルドとの素早さ関係を明確にしてプレイングの負担を減らすためにひかえめにしました。4だけ配分して98にしたのは、無振りで97のヒードランがいる可能性も考えてひかえめ無振りよりも1だけ速くしました。岩石封じが1回入った準速のランドロスより早く動くこともできます。持ち物のシュカのみは、ヒードラン同士の対決を有利に進めることが出来る他、めざめるパワーとの相性が良く、相手のランドロスやボーマンダの地震を耐えて、返しのめざめるパワーで1発で倒すことが出来ます。いのちのたまを持った陽気ランドロスの地震までは、いかくなしで耐えることができます(意地っ張りは中乱数)。Day1でもDay2でも多くのランドロスやボーマンダをめざめるパワーで倒し、勝負を有利に進めることができました。恐らく今大会のMVPだと思います。
バンギラス
持ち物:いのちのたま
特性:すなおこし
性格:いじっぱり
H207(252)-A204(252)-B131(4)-x-D120(0)-S72(0) ※S個体値12
技:いわなだれ/かみくだく/けたぐり/まもる
・けたぐり+砂ダメージ1回でH181-B120ガルーラを超高乱数(15/16)1発
・けたぐりでH167-B126ヒードランを高乱数(12/16)1発
・岩雪崩でH186-B90ボルトロスを確定1発
・最遅ヒードラン(73)-1
Day1ではマリルリを採用していた枠ですが、急遽バンギラスに変更しました。主な理由は、リザードンに苦戦を強いられたこと、対雨パーティに不安要素があったという2点です。このバンギラスは、もともと使う予定だったメガボーマンダの構築で採用していたポケモンで、トリックルーム下での圧倒的な制圧力、電磁波+大ダメージの岩雪崩とのシナジーを高く評価していました。ギルガルドを大きく削ることが出来る点でも、このパーティーにはとてもマッチしています。
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以上がPT解説になります。幸運にも、予選のスイスドローを6勝1敗で5位と素晴らしい成績で通過することが出来ました。目論見は正しく、前日から変更したランドロス、バンギラスはとても機能しました。準々決勝にてBIDC(Hideyuki Taida)選手に負け、惜しくも6位という成績に終わってしまいましたが、急造のパーティーでここまでこれたことについてはとても満足していると同時に、驚いています。欲を言えば、あと1勝で来年の権利を獲得することが出来たので、勝ちたかったところですが、彼は本当に強く、そんなに甘くはありませんでした。また来年、しっかりと準備して出なおしてこいということだと思います。
また第5ラウンドのLajos選手との対戦では、メインステージで対戦することになり、全世界に向けた勝利者インタビューも受け、貴重な体験をすることも出来ました。第4ラウンドのゆういち(Yuichi Sasaki)選手との対戦も、配信されていたようです。これらの動画を貼っておきます。
スイスドロー第3ラウンド vs ゆういち(JP)
スイスドロー第5ラウンド vs Lajos(GE)
スイスドロー第5ラウンド 勝利者インタビュー
正直なところ、準備不足もあって今回は良い成績を残せると思っていなかったので、自分が世界で6位になれたことはまだ半分夢のようです。調整に付き合ってくれたり、アドバイスをくれた友人にはとても感謝しています。祝福してくれた皆様も本当にありがとうございました。
また来年サンフランシスコで沢山のプレイヤーと対戦できることを楽しみにしています。