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可視化法、今国会で成立へ

 参院法務委員会は19日午後、警察や検察による取り調べの録音録画(可視化)の義務づけのほか、司法取引制度の導入、電話やメールなどの通信傍受の対象犯罪拡大を柱とした刑事司法改革関連法案の審議を終え、採決する。賛成多数で可決される見通し。20日の参院本会議で可決後、衆院に送付されて成立することが確実となった。

     同関連法案は刑法、刑事訴訟法、組織犯罪処罰法など計10本を一括して改正する内容。現在、日本の刑事司法制度で大きな比重を占めている、取り調べや供述調書への過度の依存から脱却するのが狙い。関連法案は、殺人など裁判員裁判対象事件と特捜部など検察の独自捜査事件で、逮捕、勾留された容疑者の取り調べ全過程の録音録画を義務づける。容疑者が録音録画を拒否した場合などは例外となる。

     取り調べの可視化の一方、証拠収集手段は多様化する。司法取引は薬物・銃器犯罪のほか、贈収賄などの経済犯罪で、容疑者や被告が共犯者らの犯罪事実を明らかにした場合、検察官が起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりすることができる。電話などの通信傍受は、これまでの4類型(組織的殺人、集団密航、薬物・銃器犯罪)に加え、組織性が疑われる詐欺や窃盗、放火などが対象に追加される。

     大阪地検特捜部の証拠改ざん事件(2010年9月)など不祥事や冤罪(えんざい)事件に対する批判を背景に、江田五月法相(当時)が11年5月、刑事司法制度の見直しを法制審議会に諮問。法制審の答申を受け政府は15年3月、関連法案を閣議決定した。昨年の通常国会では、与野党の修正を経て衆院を通過したが、参院で継続審議となっていた。【鈴木一生】

     <刑事司法改革関連法案の主な内容>

    ・裁判員裁判対象事件と検察独自捜査事件の取り調べ全過程を録音録画(施行は公布後3年以内)

    ・容疑者や被告が他人の犯罪事実を明らかにした場合、検察官は起訴を見送ったり、求刑を軽くしたりできる司法取引制度を導入(同2年以内)

    ・証人に対し、刑事責任を追及しないとの条件で不利なことを証言させる刑事免責制度を導入(同2年以内)

    ・通信傍受の対象犯罪に、組織性が疑われる詐欺や窃盗などを追加(同6カ月以内)。通信内容を暗号化できる機器を使えば、通信事業者の担当者の立ち会いは不要に(同3年以内)

    ・裁判所による保釈の判断を「逃亡、証拠隠滅の恐れの程度や、健康上、経済上の不利益を考慮する」などと明確化(同20日経過後)

    ・検察官が被告側に証拠の一覧表を開示する(同6カ月以内)

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