違法な企業を国が公表
千葉労働局長が、違法な長時間労働を複数の事業場で行っていた企業に対して是正指導をし、その企業名を公表しました。
指導された会社は、株式会社エイジス。
4つの事業場で、合計63名に100時間以上の時間外・休日労働させていたというものです。
ソース
http://chiba-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/chiba-roudoukyoku/houdou/souken/2016519151112.pdf
このような会社名が公表されるのは、今回が初めてとのこと。
事実上、「国による初めてのブラック企業認定」と言えるでしょう。
公表する背景
企業名を公表する背景は、こちらに書かれていました。
ちょうど一年前に発表されていますが、指導・公表する企業の基準は二つ。
- 複数の都道府県にまたがる企業で、中小企業でないもの
- 違法な長時間労働が相当数の労働者に 認められて、そのような実態が一定期間内に複数の事業場で繰り返されていること
両方に該当した場合、都道府県労働局長よ り企業の経営トップに対して全社的な早期是正について指導を行い、その事実を公表する、とされています。
疑問に思うこと
今回の公表を見て、疑問に思うことがあります。それは、
- なぜ、この会社だったのか
ということ。
公表基準はあるものの、同じようなことをしている会社は、他にいくつもあるはず。
また、一社だけ公表されるというのは、とても目立ちますので、受けるダメージは、すごく大きいと思うのです。
にも関わらず、この会社だけが選ばれました。
内部告発が多かったのか、何度指導しても聞く耳を持たなかったのか、あるいは、これから、他の会社もバシバシ公表していくのか・・・。
いずれにしても、今、このタイミングで公表されたのが、千葉県のこの会社だけであった理由が気になるところです。
発表の効果と影響は?
この会社は、ある種のスケープゴートにされたのは間違いないと思います。
「これは、まずいぞ!」と今頃大慌て、即行で是正する会社がたくさん出るんじゃないでしょうか?
そうなると、数字には表れないけれど、効果は大ですよね。
ただ、「バレないように、運用をもぐらせる会社」が出てくるかもしれません。
つまり、これまで残業代を払っていたけれど、これからは残業の証拠を残さないために、サービス残業を強要する会社が出てくるかもしれないです。
また、「2ちゃんねる」を見ていたら、おそらく同社の社員であろう書き込みがありました。
「もし、これでまともな労働時間になったら、収入が激減する。年間で100万円以上、手取りが少なくなる。とっても困る」
と言ったもの。
残業代が生活給となっているのは良くないことではありますが、現実がそうである以上、本当に切実な話だと思います。
そして、株価。
やっぱり、下がっていますね。
こちらは、昨日から今日の午前にかけての値動き。
昨日は、ジリ下げでしたが、今日になって、ドンと窓を空けて下げています。
こちらは直近3ヶ月。
決算の関係でしょうか?GW明けに一気に上昇しています。
その戻しの要素が大きいとは思いますが、1週間前の高値からは30%ものダウンですね。
株主さんには、本当にお気の毒としか言いようがないです・・・。
まとめ
長時間労働の是正、実態はなかなかうまく行っていないのでしょうね。
そこで、今回の公表のようにハードな方法を取ると、良い影響がある一方、悪い反動も出てしまう。
本当に難しいと思います。
ただ、法律違反ですからね。
本気で長時間労働を是正するつもりであれば、違反にはしっかりと対処すべきだと思います。
では、また。