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【栃木】

県弁護士会「全面可視化が保証されず」 今市女児殺害判決受け声明 法改正案に反対

 二〇〇五年に今市市(現日光市)で起きた小一女児殺害事件の裁判員裁判で、宇都宮地裁が今年四月、殺人罪に問われた勝又拓哉被告(34)に無期懲役を言い渡したことを受け、県弁護士会は、取り調べの録音・録画(可視化)を義務化する刑事訴訟法改正案に関し、「可視化の義務化が不十分だ」などとして、廃案を求める会長声明を出した。 (大野暢子)

 十二日付の声明で、室井淳男(あつお)・県弁護士会長は、うその自白を強いられたとして潔白を主張していた勝又被告を有罪とした判決について、「自白の映像を有罪のよりどころとした」と指摘した。

 被告が殺人容疑で逮捕される前、別件の商標法違反罪で起訴、勾留されていた時期に受けた任意調べが、一部しか可視化されていなかった点も問題視。「判決は(可視化の)対象事件ですら、全面的な可視化が保証されていないことを露呈した」と批判した。

 参院で審議中の改正案は、裁判員裁判の対象事件などで、取り調べの全過程を可視化するよう定める内容。ただ、任意捜査は可視化の対象とならず、捜査側が十分な供述を得られないと判断した際は例外になるとされ、冤罪(えんざい)被害者らの間には、部分的な可視化が冤罪につながると懸念する声も根強い。

 十八日に県庁で会見した近藤峰明(みねあき)・県弁護士会副会長は「改正案は通信傍受の対象拡大や司法取引の導入など、捜査側の権限を拡大するものが目立ち、冤罪の危険性が増す」と警戒した。県弁護士会は同日付で、衆参両院や最高裁などに声明を送付した。 

 

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