地震
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南海トラフ地震を引き起こす活断層帯を特定 「富士山から海へ続いていた!」
2016年05月19日 18時55分
南海トラフで巨大地震が発生した場合に、連動して大きな被害をもたらすおそれがある富士川河口の断層帯について、産業技術総合研究所のグループが正確な位置を突き止めた。国内でも最もズレ幅が大きい断層のひとつが特定されたことで、今後の減災計画への寄与が期待される。
富士山麓から静岡県東部の駿河湾に流れ込む富士川の河口付近にかけて、南北26キロ以上にわたって伸びる「富士川河口断層帯」は、日本で最も活発に活動するといわれる。
この断層帯のうち、河口西側の「入山瀬断層」については、1000年あたり7メートルほどズレるおそれがあると推定されているものの、地表に断層が露出していないため、実態が明らかにされていなかった。
産総研の情報地質研究グループは2013年、駿河湾の沿岸海域で、音波による探査や地形調査を実施。海岸から2キロ以内の沖合の海底で2万年前に形成された浸食面の研究から、新たに4つの活断層を確認した。
この結果、富士川河口断層帯が陸から海へ連続して伸びている事実が明らかになり、南海トラフとの位置関係も判明した。フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境界である南海トラフでは、マグニチュード9を超える大地震の発生が予測されており、この東端部分は、駿河湾奥につながる「駿河トラフ」と呼ばれている。
今回の研究により、駿河湾のプレート境界にある富士川河口断層帯が幅5キロの間に、少なくとも4つの活断層から構成され、それぞれの断層の活動は、陸と海で異なることが判明した。研究グループは「これらの地質情報を利用して、減災対策や施設の建設計画に役立ててほしい」と期待している。