ダイヤモンド・オンライン編集部
2016年5月20日
美しい日本の再建と誇りある国造りのために、政策提言と国民運動を推進する──。「日本会議」という保守系の民間団体がある。安倍晋三内閣と極めて近い関係にあることで注目を浴びている組織だ。
実に、現在の安倍内閣の主要閣僚19人中15人と約8割が日本会議のメンバーであり、昨年夏の安保法制を合憲とした3人の憲法学者をはじめ、安倍政権の周辺のさまざまな団体・人脈が、日本会議関係者で構成されているのだ。
まさに政権と一体化したかのような勢力を持つ日本会議とはいかなる来歴を持ち、どんな構造の中で、何を目指しているのか。まさに、今の日本の「右傾化」の淵源というべき、この団体の実態を詳らかにした『日本会議の研究』(扶桑社新書)が話題を呼んでいる。
発売は4月30日。初版で8000部、発売前に3000部増刷したが、それでも売り切れ書店が続出。アマゾンでも品切れで、中古本には4000円~1万2000円もの高値が付いた(5月20日に重版出来、書店に再び並び始めた模様)。
発売日には、出版元の扶桑社に日本会議から出版差し止めの申し入れがあったことも明らかになり、さらに話題に火がついた。
著者の菅野完氏に、本書で伝えたかったことは何かを聞いた。
──菅野さんは、ツイッターで自分の住所や携帯電話番号まで公表していますが、抗議の電話とかはありませんでしたか。
僕のところにはまったくありません。扶桑社には抗議の電話が何本か掛かってきたようですが、すぐ収まったように聞いています。
──元々はウェブでの連載でしたね。
自分なりに調べてきたことを、去年の1月からツイッターで書き始めたのが最初です。どのメディアにも書く当てがなかったので、ツイッターで書いていたところ、興味を持ってくれた扶桑社の編集者から連絡があり、同社のハーバービジネスオンラインで「草の根保守の蠢動」という連載を始めました。
──日本会議については、これまで新聞や雑誌で単発記事はあっても、ここまで詳細に調査した書籍はありせんでした。
みんな馬鹿にしてたんでしょう。過去の政権でも為政者には常に取り巻きはいたわけで、そうした取り巻きの一つといったイメージだったんでしょうね。
しかし、日本会議は、そのときどきの為政者の志向とは関係なく、歴代の自民党総裁には常に強烈な意思を送り続けてきた。戦前の言葉で言うと、初めて「天聴に達した」のが安倍さんだったということですね。
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