【産経抄】ギョーザは日本一だけど 5月20日
今年1月、浜松市の2年連続日本一が明らかになった。ギョーザの世帯当たり購入額である。総務省が発表した平成27年の家計調査に基づいて浜松市が集計したところ、4646円で2位のライバル宇都宮市に665円の差をつけていた。
▼3位は京都市だったが、その後訂正されて52位だった宮崎市が3位となる。宮崎市については当初、ギョーザの欄の隣にあったシューマイの購入額で計算する浜松市の職員のミスがあったからだ。
▼燃費データ不正問題は、三菱自動車にとどまらない。浜松市に本社を置く世界的な軽自動車メーカーであるスズキにも、不正が発覚した。こちらは、「ミス」では済まされない。スズキによると、現在生産・販売している全16車種を含めた約210万台について、法令に基づく走行試験を行っていなかった。
▼屋外の試験コースで測定すると、風の影響を受けて数値にばらつきが出る。そこで実験室内での測定値を報告していたという。背景には、ワンマン経営者の鈴木修会長(86)による「ケチケチ戦略」があったとも指摘される。海沿いにある試験コースには、防風壁が設置されていなかった。
▼もっとも、データを改竄(かいざん)した三菱自動車とは違う。正しい方法で測った燃費値との違いが誤差の範囲である。従って、販売を継続するという説明は、利用者からすればとても納得できない。燃費というお家芸にケチがつけば、日本の自動車全体のブランドに傷が付く可能性さえある。
▼小売店での購入額では1位を譲ったものの、今も「本家」を自任する宇都宮市では今週末、「全国餃子祭り」が開催される。全国10地域のギョーザの食べ比べができる会場で、両市は今回は味で勝負する。不正が入り込む余地はない。