「ゴースト画家」は詐欺か、韓国美術界の慣行か

 現代美術画家の中には、助手がいることを公にする人も多い。映像・インスタレーション(設置芸術)など作業の規模やカテゴリーが拡大しているだけでなく、作業を分業化しているからだ。人気アーティスト、ジェフ・クーンズ氏の米ニューヨーク・チェルシーにあるアトリエにはスタッフが約120人いる。クーンズ氏は記者や評論家らが来ると、自らアトリエを案内して助手が作業しているところを見せてくれる。絵画の場合、クーンズ氏がコンピューターで絵を描いてから、助手3人が1年4カ月-1年6カ月かけて完成させる。中国のアーティスト艾未未氏が英国の美術館テート・モダンで展示した作品「ひまわりの種」も、1人の力では不可能だった。約1600人が製作に携わり、製作期間2年6カ月を要した。オラファー・エリアソン氏、アニッシュ・カプーア氏らもスタッフ70-100人を抱えた企業型スタジオを運営して作業を分業化している。

 ビデオアーティストのナム・ジュン・パイク(白南準)氏が助手を「テクニシャン」と呼び、同等の関係のコラボレーション・パートナーとして大切にしたという話も有名だ。ポール・ギャリン氏もそうだ。あるギャラリーの関係者は「あるベテラン・アーティストは助手が変わるたびに印象が変わる。『○○(助手の名前)の時はディテールが良かった…』などと言うほどだ。コレクターたちもそうしたことを知っている」と話す。もちろん、最初から最後まで助手を持たず、1人の力だけで作品を完成させるアーティストもいる。

■「アートテイナー」の作品作りに対する姿勢が問題

 だが、そうした美術界の中でも、チョ・ヨンナム氏の「ゴースト画家」利用に批判的な見方はある。チョ・ヨンナム氏は1973年にソウル市鍾路区仁寺洞で初めて個展を開き、95年からは本格的に個展を開催、「画家兼歌手」という意味から、自らを「画手」と称している。芸術をたしなむ芸能人「アートテイナー(アート+エンターテイナー)」の代表的な存在だ。ある画家は「多くの芸術家たちがひどく悩み、その過程で助手を使うのに対し、チョ・ヨンナム氏はその知名度で作品を売る際に助手を使っている」と批判した。また、別の画家は「助手がすべて描いて、仕上げだけするアーティストも多いが、そのほとんどはアトリエに一緒にいて、助手と語り合い、気持ちを通わせ合いながら作業をする。チョ・ヨンナム氏はソウルにいて、助手は束草にいるまま、必要な時にメールで『描け』というのは話にならない」と批判した。

金美理(キム・ミリ)記者 , 権承俊(クォン・スンジュン)記者
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