仮に、韓国の輸出が現在の傾向のまま、対前年比10%前後の減少が続くと、それだけで名目GDPという需要が4%超も縮小してしまうという話になる。これほどまでに急激に需要が減れば、生産年齢人口が頭打ちになったところで、人手不足にはならない。
特に、韓国で割を食っているのが若い世代だ。日本の16年1月の若年層(15歳−24歳)の失業率は5%。断言するが、生産年齢人口が総人口に占める割合が減っている以上、わが国は若年層であっても完全雇用に近づく。
それに対し、韓国の若年層失業率は、何と16年2月の数字で12・5%! しかも、韓国の「若年層」の定義は、なぜか15歳−29歳となっている。普通に考えて、25歳か29歳の若者は働いている人が多くなるだろう。わざわざ、若年層の定義を15歳から29歳と他国よりも広げて集計しても、若年層失業率が12・5%なのである。
韓国の若者が「良質な雇用」を手に入れる機会は、すでについえた。だからといって、日本に移民してもらっては困る。反日国家のプライドにかけて、自国の問題は自国で解決するように努めてほしいと切に思う。
■三橋貴明(みつはし・たかあき) 1969年、熊本県生まれ。経済評論家、中小企業診断士。大学卒業後、外資系IT業界数社に勤務。現在は「経世論研究所」所長。著書に『中国崩壊後の世界』(小学館新書)、『2016年 中国・ユーロ同時破綻で瓦解する世界経済 勝ち抜ける日本』(徳間書店)など多数。