韓国で販売されているディーゼル車19車種が、人体に有害な大気汚染物質である窒素酸化物を、基準値の1.6-20.8倍も排出していたことが分かった。自動車メーカー各社が、室内試験での認証基準をクリアしただけで、道路を走行する際には窒素酸化物をまき散らすディーゼル車を販売してきたという事実が明るみに出たのだ。これは政府と国民に対し詐欺を働いたも同然だ。排ガス量の不正操作を行ったフォルクスワーゲンや日産には、厳しく責任を問い続けていくべきだ。
今回の「ディーゼル車詐欺事件」をきっかけに、消費者たちにディーゼル車を買うようあおってきた政府の政策も完全に改めるべきだ。ディーゼル車の所有者は2010年以降、「クリーン車」という理由で、10万-30万ウォン(約9200-2万7700円)台の環境改善負担金を免除されてきた。このため、韓国の新車販売台数の半分以上をディーゼル車が占めるようになり、過去10年間でディーゼル車は55%も増加し、878万台に達した。
このように増加したディーゼル車がまき散らす排気ガスは、国民の健康に被害をもたらし、税金の負担を増加させている。韓国での大気汚染に伴う死亡者は10万人当たり24人に達し、主要12カ国の中では中国に次いで多い。自動車による大気汚染を防ぐための韓国政府の支出は、2005年から14年までの10年間で2兆8900億ウォン(約2672億7600万円)に達し、15年以降の10年間ではさらに3兆7000億ウォン(約3421億8700万円)の支出が見込まれる。政府の政策が、ディーゼル車の所有者には利益を与える一方、それに伴う費用は社会全体に負担させている状況だ。
政府はディーゼル車に対する環境改善負担金を復活させ、ガソリンと軽油の価格差も縮める必要がある。この過程で、トラックを所有する低所得者や、中小のバス事業者などが被害を受けることの内容、きめ細かな措置が必要だ。そして長期的には、多くの大気汚染物質を排出する車に対し、より多くの税金や負担金を徴収すべきだ。