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「杉原千畝は命の恩人」 命のビザに救われたポーランド出身のユダヤ人男性が75年ぶりに神戸を訪問
第二次世界大戦中、リトアニア領事代理だった外交官、杉原千畝(1900~86年)がナチス・ドイツの迫害からユダヤ人を救うために発給した日本通過ビザ(査証)を得て、神戸経由でニュージーランドに逃れたピーター・バルークさん(77)が17日、75年ぶりに神戸市を訪れ、玉田敏郎副市長を表敬訪問した。
バルークさんはポーランド出身で、杉原が発給した「命のビザ」で救われた約6千人のユダヤ人の1人。1941(昭和16)年2月に船で両親とともに杉原のビザを持って福井県敦賀市に上陸した後、約半年間神戸市内に滞在したという。その後、ニュージーランドへ渡り、現在はオーストラリアで暮らしている。
自分のバックグラウンドを知りたいと、幼少期を過ごした神戸を訪問。当時暮らしていた北野の異人館街(中央区)などを訪れ、18日まで滞在するという。
日本に上陸した当時2歳だったバルークさんは「当時の神戸は街というより、小さな家が並ぶ村だった。銭湯に行ったことや、神戸の人たちが親切にしてくれたことを覚えている。杉原は命の恩人だ」などと語った。玉田副市長は「戦災や震災で、75年前の面影は残っていないかもしれないが、今の神戸の街を楽しんでほしい」と歓迎した。