沖縄の女性行方不明事件 米軍関係者の男を逮捕

沖縄の女性行方不明事件 米軍関係者の男を逮捕
沖縄県うるま市の20歳の会社員の女性が先月28日から行方不明になっている事件で、警察は、アメリカ軍の関係者の32歳の男を遺体を遺棄した疑いで逮捕しました。男の供述どおり、恩納村の道路脇から遺体が見つかったということで、警察は行方不明になっている女性とみて確認を急ぐとともに詳しいいきさつを捜査しています。
逮捕されたのはアメリカ軍の軍属で沖縄県与那原町のシンザト・ケネフ・フランクリン容疑者(32)です。
警察の調べによりますと、シンザト容疑者は先月28日の夜から翌日の未明までの間に沖縄県恩納村の県道脇の雑木林に遺体を遺棄した疑いが持たれています。
警察は、遺体は先月28日から行方が分からなくなっている沖縄県うるま市の会社員、島袋里奈さん(20)とみて身元の確認を進めています。
これまでの調べで、島袋さんは先月28日の午後8時ごろ、同居していた男性のスマートフォンにメッセージを送ったあと翌朝になっても帰宅せず、行方が分からなくなっています。
警察が捜査していたところ、島袋さんのスマートフォンの位置情報は自宅から数キロの場所で途絶えていたことが分かりました。そして、警察は当時、付近を車で通行したとみられるシンザト容疑者から事情を聴いたところ、供述どおり、うるま市から北におよそ16キロ離れた恩納村の県道の脇から遺体が見つかったということです。
警察によりますと、シンザト容疑者は「動かなくなった女性を雑木林に遺棄した」と供述して、容疑を認めているということです。
警察は見つかったのは島袋さんとみて、確認を急ぐとともに詳しいいきさつを捜査しています。

翁長知事「米軍基地あるゆえの事件」

アメリカ軍の関係者の32歳の男が遺体を遺棄した疑いで逮捕されたことについて、沖縄県の翁長知事は成田空港で記者団に対し、「基地があるがゆえの事件が起きてしまったことは、県民の命と財産、子や孫の幸せを願う沖縄の知事として大変残念だ。県民はこの悲しい現実を受けて過去に起きた事件・事故を振り返り、怒りの持って行き場がないと感じていると思う」と述べました。

遺体が見つかった場所は

遺体が見つかったのは、うるま市に隣接する沖縄県恩納村の県道の脇で、島袋さんの自宅から直線距離で北におよそ16キロ離れています。県道の脇は雑木林になっていて、奥に通じる道がありますが、道の入り口は警察によってブルーシートで囲われ、中の様子は見えません。現場のすぐ近くにはゴルフ場がありますが、住宅や街路灯はなく、車や人の通りの少ないところです。

行方分からなくなった詳しい経緯

島袋里奈さん(20)は、うるま市の中心部から3キロほど離れたマンションで交際相手の男性と一緒に暮らしていました。
男性によりますと、先月28日の午前には、島袋さんに特に変わった様子はなかったということです。その日の午後8時ごろには、男性のスマートフォンに島袋さんから「ウォーキングしてくる」というメッセージが届きました。そして翌日(29日)の午前2時ごろ、男性が「今から帰る」というメッセージを送ると、メッセージは読んだことを示す「既読」になったということです。しかし、その後、午前2時40分ごろ「でかけているの?」ともう一度メッセージを送りましたが「既読」にはならなかったということです。
島袋さんのスマートフォンは電源が入っていない状態になり、朝になっても帰宅しなかったため、男性が警察に捜索願いを出していました。
財布や車が自宅のマンションに置かれたままだったことなどから、警察は、事件に巻き込まれたおそれもあるとみて捜査するとともに、今月12日には顔写真を公開して情報の提供を呼びかけていました。

「基地あるかぎり事件なくすのは難しい」

アメリカ軍の関係者の男が逮捕されたことについて那覇市の50代の女性は、「痛ましい事件で本当に気の毒です。沖縄ではこうした事件が何度も起きていて正直『また起きたか』という気持ちです。アメリカ軍基地があるかぎり、事件をなくすのは難しいと思います」と話していました。
また、那覇市の70代の男性は「悔しくてことばになりません。国がなんとかしないとだめだと思いますし、アメリカ軍基地は早く撤去してほしいと思います」と話していました。

繰り返される米軍関係者による事件

在日アメリカ軍の専用施設の74%が集中する沖縄では、これまでにもアメリカ軍関係者による事件が繰り返し起きていて、今回の事件を受けて基地の整理縮小を求める声が改めて高まることが予想されます。
沖縄県警察本部によりますと、沖縄が本土に復帰した昭和47年から去年末までに起きた、アメリカ軍の軍人や基地で働く軍属などによる刑法犯罪は5896件あります。
復帰から20年余りは1年に100件から300件余りの範囲で推移していましたが、平成7年以降は100件を下回る年が多くなり、去年は34件でした。
5896件の内訳をみると、空き巣や車上ねらいなどの「窃盗犯」が50%を占め、傷害や脅迫などの「粗暴犯」が18%、殺人や女性への乱暴などの「凶悪犯」が9.7%などとなっています。
このうち、平成7年には小学生6年生だった女の子がアメリカ兵3人に連れ去られて乱暴される事件がありました。
この事件で、沖縄では基地の整理縮小を求める声が高まり、その翌年、日米両政府は普天間基地の返還に合意しましたが、今も実現していません。
また、ことし3月にはアメリカ海軍の兵士が那覇市内のホテルで日本人観光客の女性を乱暴したとして逮捕・起訴されています。
今回、再びアメリカ軍関係者による事件が起きたことで、沖縄で基地の整理縮小を求める声が改めて高まることが予想されます。