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和田美樹和田美樹  - ,,  09:00 PM

脳の学習システムについて知っておくべき6つのポイント

脳の学習システムについて知っておくべき6つのポイント

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外国語、料理、楽器演奏、あるいは読書内容の習得であれ、新しいことを学ぼうとしている人は、脳がどのように学習するのかを知っておくと便利です。学び方には人それぞれ多少の違いがありますが、脳が新しい情報を取り込む方法には共通点があり、それを知ることで、新しいことを学ぶためのもっとも効率的な戦略を選択することができるようになるのです。

では、脳の学習システムについて知っておくべき6つの事柄を以下に挙げます。


1. 視覚的情報のほうが頭に入りやすい


脳の約半分が視覚情報の処理に直接関与している、というようなことがよく言われますが、脳の非常に多くの部分が複数の機能をもっているので、そのように一概に語るのは難しいのです。しかし『ディスカバー』誌によると、視覚情報処理専用のニューロンが、大脳皮質の約30パーセントを占めているそうです。脳のパワーのかなりの割合が、目と、見たものを情報に変えるプロセスだけに使われているということです。

視覚は、多くのエネルギーを必要とするばかりでなく、情報処理において、ほかの感覚よりも優位な知覚なのです。

その最たる例が、ワイン愛好家54人を対象に行ったテイスティング実験です。実験者らは、味も香りも付いていない赤い着色剤を白ワインにたらし、被験者たちが、味だけで白ワインであることに気づくかどうか試したのです。しかし彼らは気づきませんでした。視覚は、私たちが世界をどう解釈するかをそれほど大きく左右し、ほかの感覚をもしのいでしまうことさえあるのです。

視覚に関する、もう1つの驚くべき事実は、私たちが文章を画像としてとらえているということです。今このパラグラフを読んでいるあなたの脳は、一文字一文字を画像と解釈しています。そのため、読むことは、画像による情報処理の早さと簡単さに比べると、非常に効率の悪い作業なのです。

また私たちは、静止画に比べ、動くものには特別の注意を払います。そのようなわけで、画像や映像は、学習には欠かせない友なのです。

応用:脳の視覚優位の傾向をどう活用するか? 画像付きのカードを入手したり自作したりしましょう。また自分のメモに、雑誌や新聞から切り抜いたイラストや写真、絵などを貼り付けます。新しく覚えた事柄は、色や図を使って記録します。


2. 詳細よりも概要のほうが覚えやすい


新しい事柄をいくつも覚えるときは、大量の情報に混乱しがちです。圧倒されないためにできることの1つに、頻繁に全体像に照らし合わせるという方法があります。新しいことを学習するときは、たいてい概要からスタートするはずなので、その後新しい事柄を覚えるたびに、それがどう全体像に結びつくかを考えるようにするとよいのです。

実は、私たちの脳には、習ったことの詳細よりも要点のほうがよく覚えているという傾向があるのです。ですから、そんな脳の自然な傾向を利用しない手はないと思います。

脳が、新しい情報を取り込む際、何かすでに知っている情報に結びつけることができると、記憶が保持されやすいのです。物事の要点から学習するのがよいのはそのためです。まず要点を押さえておけば、1つ1つの詳細をそれに絡めて覚えることができるというわけです。

私は、以前読んだこの考えのたとえ話がとても気に入っています。あなたの脳が、棚で埋め尽くされたクローゼットだと想像してください。そこへ洋服をしまうたびに、棚は埋まっていき、あなたは、仕分けを始めます。

黒いセーター(新しい情報)を1枚入れる場合、セーターの棚(既存の概念)に入れることもできるし、黒い服の棚、冬服の棚、あるいはウールの棚に入れることもできます。現実の世界では、1枚のセーターを1つ以上の棚に入れることはできませんが、脳内では、新しい情報が複数の既存の概念と結びつけられるのです。新情報がさまざまな既知の事柄に結びついていたほうが、後でその情報をたやすく取り出すことができるのです。

応用:学習していることの概要を図やメモで1ページにまとめたものを、いつでも参照できるようにし、要点を新しく学ぶたびに書き足していきましょう。


3. 睡眠が学習と記憶に大きく影響する


新しいことを習い、翌日それをテストされた場合、その間にとった一晩の睡眠が、テストの成績を大きく向上させることが、研究で示されています。ある運動技能の研究で、新しい技能を学んだ参加者たちを調べたところ、一晩の睡眠を挟んで12時間後にテストされたグループは、技能が20.5パーセント向上し、睡眠を摂らずに同日の4時間後にテストされたグループは、3.9パーセントの技能向上にとどまったのです。

昼寝も、一晩寝たとの同様に習得を向上させます。カリフォルニア大学の研究では、難しい作業をした後に昼寝をした参加者は、その後同じ作業をしたときに、昼寝を挟まないでテストに臨んだ参加者よりもうまくできた、という結果が得られました。

また、学習の前に寝るのも効果的です。Dr. 前述のカリフォルニア大学の研究リーダーMatthew Walker博士は「睡眠は、脳が乾いたスポンジのような状態になるよう準備し、新しい情報をたくさん吸収できるようにする」と述べています。

応用:新しく覚えたことを、夜寝る前あるいは昼寝する前に練習したり、読み返したりし、目覚めてから、直近の学習セッションで覚えていることを書き出してみましょう。


4. 寝不足は新しい情報の習得能力を大きく損なう


寝不足は怖いものです。睡眠やその目的が、いまだに(だいたいはわかっていても)完全には解明されていないため、私たちは、睡眠の必要性をあなどっているところがあるのです。

睡眠が具体的にどのような機能を果たしているのか、定かにはわかっていないのですが、睡眠が足りないとどうなるかはわかっています。私たちは、睡眠不足の状態だと、リスクを避け、古い習慣に頼るという無難な行動に出がちです。また、疲れていると身体機能も劣るので、怪我をする可能性も高まります。

学習に関してもっとも大切なのは、寝不足だと、脳が新しい情報を習得する能力が40パーセント近く低下するということです。質の良い睡眠をとってリフレッシュした状態で起きるのに比べ、徹夜は、その甲斐もありません。


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Image credit: Mikael Häggström.

※上記画像の文言を以下に翻訳してまとめます。

寝不足の影響

[画像左側]

  • イライラ
  • 認知力低下
  • 道徳的判断力の低下
  • あくび多発
  • 幻想
  • ADHD様の症状
  • 免疫力の低下
  • 2型糖尿病のリスク

[画像右側]

  • 不整脈の悪化
  • 心臓疾患のリスク
  • 反応の遅延
  • 震え
  • 痛み
  • 成長の抑制
  • 肥満のリスク
  • 体温低下


ハーバード・メディカル・スクールの研究で、何かを学んだ後は、最初の30時間が重要で、その間に睡眠不足だった場合、30時間経った後に十分な睡眠をとっても、睡眠の学習効果が得られないことがわかったのです。

応用:徹夜はやめましょう。練習や学習セッションは、しっかり休息がとれ覚醒しているときにしてください。そして、新しいことを学んだ後も、睡眠不足は絶対に避けましょう。


5.他人に教えるのがもっとも効果的な学習法


自分が学んだことを他人に教えなければならないとき、私たちは新しい情報をより効率的に取り込むことができます。学んだことを頭の中でよりうまく整理し、より正確に記憶し、大事な要点をより要領よく覚えるのです。

ある研究では、参加者の半分が、学んだ情報を後でテストしますと告げられ、もう半分は、学んだことを他人に教えなければならないと告げられました。しかし実際には、双方のグループとも、他人に教えることはなく、テストをされました。その結果、他人に教える心づもりをしていた被験者のほうが、テストの成績が良かったのです。

その研究の筆頭著者、John Nestojko博士いわく、この研究は、学ぶ前と学んでいる最中の学生の心構えが、新しい情報習得の結果に大きな違いをもたらすことを示唆しているそうです。「かなり単純な指示によって、学生の心構えをポジティブに変えてやることが可能なのです」と述べています。

私たちは無自覚ですが、この情報を後で人に教えなければならないと思って学ぶと、無意識のうちに、よりよい学習法を編み出す傾向があるようです。たとえば、もっとも重要な情報や、異なる概念同士の関連性にフォーカスしたり、頭の中で綿密に整理したりしているのです。

応用:学んだことをノートまたはブログに書き出しましょう。新たに学んだ事柄について、あたかも人に教えているかのように書くのです。


6.インターリーブ(交互配置)形式のほうが新しい情報を習得しやすい


UCLAの研究者Dick Schmidt氏が「ブロック・プラクティス」と呼ぶ、一般的な学習法があります。ブロック・プラクティスとは、1つのことを学ぶために繰り返し練習したり集中したりすることです。たとえば、数時間連続で歴史を勉強したり、テニスのサーブだけを集中的に練習したりする場合です。

Schmidt氏は、これに対し、インターリーブ(交互配置)と呼ばれる別の学習法を提唱しています。インターリーブとは、情報や、練習しているスキルをほかのものと混ぜ合わせて学習する方法です。UCLAの別の研究者Bob Bjork氏は、心理学研究室でインターリーブの研究をしています。Bjork氏が行っている実験の1つに、一連の画像を画面に表示し、さまざまな美術様式を教えるというものがあります。参加者の何人かには、美術様式をブロック・プラクティス(ある画家の様式を示す6つの例をすべて見せてから、次の画家の例に移る)で教え、別の参加者には、インターリーブ形式(複数の画家の様式をすべて混ぜ合わせて見せる)で画像を見せます。

その後、双方の参加者グループに、先ほどは見せていない絵を新しく示し、ある画家の様式をその中から認識できるかどうかをテストします。すると、インターリーブ形式のグループがだいたい60パーセントほどの正解率なのに対し、ブロック形式のグループの得点は30パーセント程度にとどまるのです。

驚いたことに、この実験の参加者の70パーセントほどが、ブロック・プラクティスがもっとも効果的な学習方法だと思っていたと述べています。どうやら、皆が一番の学習法を理解するにはまだ時間がかかりそうです。

Bjork氏は、インターリーブのほうが効果的なのは、人間に本来備わっている、パターンとそれに当てはまらないものを認識する能力をうまく利用しているからだと考えています。また、現実社会で応用された場合、既知の情報と新しい情報を交互に織り交ぜて学習すると、情報を常に見直す機会になるのです。

インターリーブの実践例としては、たとえば試験前に、取り組むべき3種類の科目を代わるがわる勉強してみたり、外国語を学ぶのに、スピーキング、リスニング、ライティングといったスキルをそれぞれまとめて学ぶのではなく、組み合わせて練習するようにしてみたり、テニスの練習なら、1回のレッスンをフォアハンドだけ、バックハンドだけ、サーブだけにあてるのではなく、全部をまぜて練習するようにする、といったやり方が挙げられます。

応用:新しいテクニックを1つ覚えたり練習したりするときには、別のテクニックと織り交ぜて練習しましょう。たとえば、特定のゴルフのスイングを練習するなら、別のスイングを混ぜて同時に練習してみてください。新しい情報を習得するなら、既知の情報を混ぜてみましょう。たとえば、外国語を学ぶ場合は、すでに知っている単語と新しい単語を混ぜ合わせて学習するのです。

Bob Bjork氏が述べているように、私たちはもっと賢い学習者になる必要があります。

「どのような仕事でも、常になにかしらの新しい技術を覚える必要があります。ですから、自分がうまく学習する方法を知るのは、とても重要なのです」


Belle Beth Cooper(原文/訳:和田美樹)
Photo by Shutterstock.

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