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新聞・週刊誌「三面記事」を読み解く

朝日新聞が記者の給料平均160万円削減の“理由”

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第160回】 2016年5月14日
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 さらに言えば、90回の訂正記事は“朝刊”のみの回数で、ここに“夕刊”に載ったお詫びと訂正数をあわせたら、朝日の誤報は90回どころの騒ぎではなくなる。かつて日本のクオリティペーパーと謳われた朝日新聞には、信じられないような頻度で記事に誤りがあるのだ。記者の質が落ちたのか?

 私は、朝日新聞と言えば腐っても鯛の大新聞社なのだから、お詫びと訂正はせいぜい年に5回……、多くても10回くらいだろうと高を括っていたが、とんだ思い違いをしていたようだ。3日にいっぺんお詫びと訂正を載せといて、どこがクオリティペーパーなのだろうか。

 ブーメランと言えば民進党の十八番だが、朝日も負けてはいなかった。

 〈紛らわしいけれど、なりすましたり騙したりしているのではない。「鷽(うそ)」はしばしば「鶯(うぐいす)」と読み間違えられる(中略)

 去年に買った鷽の木彫りを神社に納めて、新しいものに買い替える。ありがたいことに、去年ついたうそも全部帳消しにしてくれるそうだ。胸に手を当てて大きめな木彫りがほしい人もあろうか。当方は東京の湯島天神で人指し指ほどのを買い求めた。

 だが、大仏級の木彫りがあっても帳消しにならぬうそは多い〉(1月30日)

 天声人語氏はなかなかに茶目っ気があるようだ。朝日新聞は築地の本社に東京ドーム級の木彫りを祀っても、一連の慰安婦報道の誤りや吉田調書を曲解した記事が帳消しにはならないことがわかっているのだろう。

 だから、こんな天声人語もある。

 〈朝、新聞が届く。「私はいつも最初にスポーツ欄を開く」と言ったのは米国の政治家で判事だったウォーレン氏だ。「そこには人間が達成したことが記録されている。第一面は人間のしでかした失敗ばかりだ」〉(2月4日天声人語)

 そうなのだ。2014年8月5日、6日の朝日新聞の一面には、でかでかと“人間がしでかした失敗”が載っていた。

 そして、実に面白いコラム『社説余滴』が13日の朝刊に載った。コラムでは、国際社説担当の箱田哲也氏が若宮啓文氏を追悼している。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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