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朝日新聞が記者の給料平均160万円削減の“理由”

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第160回】 2016年5月14日
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 経営危機がささやかれているのである。年明け早々、社員専用のHPには“人事・給与制度改革と定年延長を提案”と題された社報が掲載された。

 〈今回の給与制度改革は、給与水準の抑制を伴い、みなさんにとって大変厳しい提案にならざるをえませんでした(中略)平均年収は、16年度対比で約160万円減少する見込みです〉

 なんと、朝日新聞社は、社員の給与を平均160万円も削減するというのである。

 多少の減給はやむないと朝日の社員も思っていたそうだが、平均160万円と聞いて愕然としたという。年収の削減幅は対象年齢によって変動するが、改定例をみると30歳で約88万円が削減されて年収は786万円になるとのことだ。40歳だと削減額は驚きの192万円で、削減後の年収は1053万円になるのだとか。

 給料の削減だけではなく、朝日は早期退職者も募っている。朝日の社員が言う。

 「新年会でも早期退職制度が話題になりました。我々40代だとだいたい5000万円は貰えるそうです。そのお金は老後に取っておいて、別の仕事を探すのも悪くないかなって思い始めています」

 朝日新聞社が早期退職希望者を募ったのは今回が初めてではなく、2010年、赤字に転落したときも同様の募集を行なっていた(このときは112名の応募があり、ローマ支局長などを歴任した外報部の幹部らが退職)。翌2011年には黒字に戻している。

 「でも、その後も肝心の部数が下げ止まらない。この3年間でも100万部落ち、昨年 11月時点で660万部まで減りました。売り上げはこの10年で1000億円以上減少し、広告費も半分以下に減っています。それで、10年に続いて今回、新たなリストラ策が提示されたわけです」

 売り上げ部数の100万部減にも驚かされるが、こんなツイートまで散見された。

 〈これまで私のような正規の定年退職者にはタダで朝日新聞が配達されたのだが、ついに「経営が苦しいので、今年3月いっぱいでOBへの無料配達は打ち切ります」と通知が来た。1ヵ月4000円ちょっとの購読料を払えという。たぶんOBの大半は購読をやめてしまうだろうな〉(1月9日)

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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