東大にスポーツ科学の新研究拠点 2020年に向け

東大にスポーツ科学の新研究拠点 2020年に向け
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2020年東京オリンピックとパラリンピックに向けて、東京大学が全学的に取り組む、国内最高レベルのスポーツ科学の新たな研究拠点を作ることになりました。
2020年東京大会が決まったことを受けて、東京大学は、国立大学としての貢献の在り方について検討してきましたが、国内最高レベルのスポーツ科学の研究拠点を新たに作ることを決めたということです。
具体的には、医学や工学、理学、人文社会科学など、東京大学が行っている日本トップクラスのさまざまな研究を学部横断的に融合させた組織を作ります。そのうえで、4年後に向けて大学ぐるみでスポーツ科学の研究を推し進め、特にパラリンピックの選手強化に役立つような研究に力を入れるということです。
パラリンピックの研究に関わる専門家によりますと、パラリンピックに特化した国内の研究は、東京大会の決定で、一部の大学で「講座」が開かれたり、個人や企業が個別に行ったりしていますが、競技に役立つ専門的な研究が十分に進んでいないのが現状で、今回の東京大学の全学的な取り組みは国内では珍しいと見られます。
大学の幹部は、「2020年の大会に貢献することは国立大学としての大切な役割だ。東大の英知を結集させた拠点にしたい」と話しています。

パラスポーツ選手の強化・育成がねらい

東京大学は、さまざまな分野が集結する研究拠点を整備することで、パラスポーツ選手の強化や育成につながる新たな研究が進むことをねらっています。
例えば、リハビリテーションを研究する医学の専門家と義足の研究を行う工学の専門家が連携し、パラスポーツの選手が最先端の義足をつけて、より効果的なトレーニングを行うことでレベルアップにつなげていくことなどが期待されます。現場の研究者も、分野横断的な研究拠点を設置することの意義を強調しています。
先端科学技術研究センターの中邑賢龍教授の研究室では、バリアフリーを実現するために最先端のテクノロジーをどのように活用するかなどを研究しています。中邑教授は、競技用の義足や小型のロボットを開発した研究者たちがほかの分野の研究者と連携することで、開発した製品の選手に対する新たな活用方法が生まれてくるのではないかと期待しています。
中邑教授は「パラリンピック選手の生理学的な研究や、用具に関わる工学的な研究はオリンピック選手に比べてまだまだ進んでいない。研究拠点がなかったこれまでは小さな規模での研究しかなかった」と話しました。
そのうえで「1つの領域で1つの研究をやっている人たちは、そこから離れられないもので、いろいろな研究分野が交わらないと新しいものは生まれてこない。2020年の大会を、大学から生まれた知見が社会に広がっていくいいきっかけにしたい」と話していました。