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1.5倍の耐震強度必要 基準内で倒壊の恐れ

震度7の地震が連続し、多くの家屋が倒壊した=熊本県益城町で2016年5月12日、本社ヘリから金澤稔撮影

 熊本地震のような2回の震度7の地震で建物の倒壊を防ぐには、現行の耐震基準より約1.5倍の強度を備える必要があることが、京都大大学院工学研究科の竹脇出(いずる)教授(建築構造学)らの研究グループの解析で分かった。現行の耐震基準は震度6強〜7の地震1回に耐えることを想定しているため、震度7級の地震が連続して発生すると基準を満たした建物も倒壊する危険性があるという。熊本地震では前震に耐えて本震で倒壊した建物もあり、連続する震度7級の地震への対応が課題として浮上している。

     竹脇教授によると、鉄骨造りで震度7相当のエネルギーを1回加えることで倒壊する建物と、同じエネルギーを2回加えて倒壊する建物の強度を独自に開発した計算手法で比較した。その結果、1回目の地震でダメージを受けて変形した建物は揺れに対する抵抗力が低下し、2回目の地震に耐えるためには現行基準の5割増の強度が必要だった。

     また、日本建築学会が、震度7を2回観測した熊本県益城町で、新耐震基準の規定が強化された2000年以降に建てたとみられる木造家屋400〜500棟を調査したところ、9棟が倒壊するなど17棟が全壊したとみられることも判明している。全壊した家屋の中には太さや長さが不適切なくぎを使うなど、設計上の配慮不足や施工不良が数多く見つかっており、関係者から耐震基準の引き上げも含めた対策強化を検討すべきとの声も上がっている。

     竹脇教授は「建物の構造によって必要な強度は変わるので、全ての建物に1.5倍の強度が必要というわけではない。それでも連続する大きな地震に対応するには、(はりなどに取り付けて震動を吸収する)制震ダンパーを設置するなど建物の抵抗力を高めることが重要だ」と話す。さらに、過去の地震被害に応じて建物に求める強度を地域によって割り引く「地域別地震係数」が、熊本を含む九州では基準値1に対し0.8〜0.9になっていることを挙げ「係数を引き上げれば設計段階で建物の強度を高めることができる」と指摘する。【山下俊輔】

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