ディスカス、「顔」を見分ける
大阪市立大の幸田正典教授らのグループがまとめる
南米に生息する淡水魚のディスカスが、互いの顔を見て「夫婦」だと認識しているとする研究成果を大阪市立大の幸田正典教授(認知行動学)らのグループがまとめた。19日の米科学誌プロスワン(電子版)に掲載される。
ディスカスは雄と雌でペアとなり、一緒に繁殖や子育てをする。パートナーには体の側部を見せる「あいさつ行動」をとる一方、未知の個体に対しては、口でつつくなどの「攻撃行動」をとる。
ディスカスは顔も含めて全身に模様があり、個体によって模様は大きく異なる。研究グループはパートナーがいる6組12匹に対し、(1)顔も体もパートナーの模様(2)顔がパートナーで体は未知の個体の模様(3)顔が未知の個体で体はパートナーの模様(4)顔も体も未知の個体の模様−−の4種類の画像を水槽のガラス越しに見せた。すると、(1)と(2)の場合はあいさつ行動をとり、(3)と(4)では攻撃行動に移る傾向が確認された。
顔の部分に特徴的な模様を持つ魚が、顔を見て相手を見分けることは別の淡水魚で確認していたが、判断しているのが「顔」なのか「模様」なのかは不明だった。幸田教授は「魚類も顔で見分けていることが裏付けられた」としている。【大久保昂】