05月18日 19時22分
55年前に起きた「名張毒ぶどう酒事件」で、去年、病死した元死刑囚の遺族が求めている再審・裁判のやり直しをめぐり、弁護団は、別の人物が毒物を混ぜた後に、瓶の封かん紙を貼り直したと考えられるとする、専門家の鑑定書などを新たな証拠として名古屋高等裁判所に提出しました。
昭和36年、三重県名張市で、ぶどう酒に農薬が入れられて女性5人が殺害された「名張毒ぶどう酒事件」では、死刑が確定した奥西勝元死刑囚が再審を求め続けましたが、認められないまま去年10月、東京の医療刑務所で病死しました。
妹の岡美代子さん(86)が10度目となる再審の申し立てを行っていますが、弁護団は、18日、専門家による鑑定書など9点について無実を示す新たな証拠として、名古屋高等裁判所に提出しました。
それによりますと、弁護団が、ことし1月に高等裁判所で保管されているぶどう酒の瓶の封かん紙に付いていたのりの成分を解析した結果、ぶどう酒の製造段階で使われたのりとは異なる成分が検出されたということです。
これについて、弁護団は公民館に1人でいた元死刑囚以外に犯行の機会がないとした確定判決とは異なり、第三者が毒物を混ぜた後に、別ののりを使って貼り直した可能性を示すものだとしています。
弁護団長の鈴木泉弁護士は名古屋市内で記者会見し「真犯人が毒物を混ぜた後に偽装工作をしたことを推認させる重大な証拠で、再審開始の原動力になると期待したい」と話しました。
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