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shi3zの長文日記 RSSフィード Twitter

2016-05-19

モバイルキャリア、始めます 08:14

 昨日、八王子の知人の社長のところに遊びに行ったら、「来月からキャリアやるんですよ」と言い出した。


 「ハ?キャリア?・・・ですか?」


 この業界でキャリアといえば、NTTドコモ、ソフトバンク、au、そしてイーモバイル(あ、でももうソフトバンクか)というイメージで、中小企業がおいそれと始められるようなイメージではなかった。


 「MVNOですか?」


 と聞くと


 「いいえ。基地局を置く立派なキャリアです。既に八王子全域に基地局を置いてます」


 と答える。

 マジか。

 頭のなかがクエスチョンマークで一杯になった。

 一体それはなんですの。


https://i.gyazo.com/482dd5606cb1cf6431aa40e541f0eb33.png


 彼らが開発したのはLoRaと呼ばれるテクノロジー(https://www.lora-alliance.org/What-Is-LoRa/Technology)。


 ミソは、電波法で定められた通信事業者の免許不要で基地局が立てられること。

 そして基地局はなんと数十万円で購入可能で、半径5kmをカバーするという。


 基地局が数十万円ということは、驚異的に通信料金を安くできるということでもある。

 半径5kmといえば、どのくらいの範囲か想像もつかないかもしれないが、このくらいの範囲である。

https://i.gyazo.com/86ad9cf9669fb94a0a78859bc55c03ed.png


 これは、UEI本社に基地局を立てた場合の半径5kmのシミュレーションだが、秋葉原はすっぽりとつつみ、スカイツリーのあたりから、早稲田あたりまで電波が届くということになる。


 しかも端末はGPS付きのものが既にあり、乾電池3本で三年は位置情報を発信し続けるという。

 

 なんだそれは。まるで夢の様な話ではないか。

 実際、エイビットは八王子を完全に電波網で覆うキャリアを来月からスタートさせる予定とか。


 凄い。凄すぎる。


 ただーし、もちろんうまい話にはウラがある。

 この端末、恐ろしく通信速度が遅いのである。

 ざっくり言うと200bpsだ。

 一度に送れるパケットは11バイトだけ。


 IPv6のアドレスは128ビット(16バイト)だから、IPv6で運用しようとすればIPアドレスすら格納できない極小パケットとなる。


 しかしこの11バイトとは別に端末認証コードが送られてきて、インターネットに接続する前にサーバーで把握できるよう紐付けられる。


 そのかわりレイテンシーは低い。


 要はアイデア次第で月々の通信料金を0円にできるキャリアなわけだ。

 たとえば、子供のランドセルに入れてGPS情報を発信させれば、親が子供の位置を確認するときだけ課金する、ようなサービスを構築できる。


 もちろんM2Mが有望で、実際にエイビットではガスの検診や電気料金の検診をリモートで行うためのガスメーターや電気メーターを販売し、八王子で来月から実証実験を始める予定だそうだ。


 さらにArduinoのシールドまで企画してるというから(これ言っちゃっていいのかな?)、期待は膨らむばかり。



 「とりあえず俺も秋葉原でキャリアやりたいんだけど」


 と言ったら



 「いいですよ」


 ということで、もしかすると本当に、キャリアを始めることになるかも。


 UEI本社でスタートすれば、まあまあ見晴らしのいい高台にあるので、秋葉原を中心として、東大、早稲田に届き、銀座のドワンゴ、築地あたりまでカバーできるので、言ってみれば僕の行動範囲はだいたいカバーできる。五反田のゲンロンカフェにも基地局を置くとすると、渋谷、恵比寿までカバーできる。


https://i.gyazo.com/5e0d55444e8a11e29a47fe0fc3590e20.png


 あとはアイデア次第でビジネスができる。

 ひとつのアプリケーションとしては、11バイトという狭い帯域を活かした「ポケベル」のようなサービスが考えられるだろう。


 最近はやりの「メーカーズ」的な切り口でも、いろいろな展開が考えられる。


 M2M(機械と機械の通信)でやるとするとさらに夢は膨らむ。

 なにしろPHSよりも遥かに安く通信端末を運用できるのだ。キーワードは低頻度、低速度、低遅延だ。これだけのローコストでありながら遅延が少ないというところが素晴らしい。


 面白いと思わない?こういう話