植村氏は、閉廷後に行った会見でこう述べている。
「櫻井さんは(脅迫の)あおり行為をしている」
「『植村バッシング』は、私だけの問題ではない。リベラルなジャーナリズムに対する不当な攻撃である。未来の記者たちがいわれのない攻撃を受けないための戦いです」
しかし、前者について、早稲田大学名誉教授の重村智計氏が言う。
「言論の世界で生きているのであれば、言論には言論で答えれば良い。もし脅迫を受けたのであれば、警察や司法に対応を求めるべきであって、公権力で相手の主張を封じ込めようとするのは、ジャーナリストとしての役割をわかっていないと言わざるをえません」
そもそも、植村氏は訴訟提起から1年余り、ニューヨークや韓国なども含めて講演活動に出ずっぱり。とても脅迫に萎縮しているお方とは見えないのである。
後者についても、元朝日新聞ソウル特派員の前川惠司氏が言う。
「古巣から漏れ聞いたところによると、朝日の心ある若い記者は、植村さんが表でこのような主張をする度にガックリきているそうです。間違いをおかしたのであれば、反省する。これは子どもでもわかること。若い記者が植村さんの態度を真似て、間違っても開き直ればいいんだ、と思ってしまったら、それこそジャーナリズムの自滅です」
彼がそのために戦っているという「未来の記者」からはソッポを向かれてしまいそうということだ。これではまるでピエロである。
その道化師、もとい植村氏は、
「私が『捏造記者』でないことを、法廷でも、証明していきたいと思っています」
とのみコメント。
しかし、前出の重村氏は喝破する。
「植村君の取材が甘かった、というのがこの問題の本質なのです。そんなごく単純な問題を、櫻井さんなどの保守の論客から非難されたことで、“正しいことを言っているのに、右派にとっては、都合が悪いから攻撃されている”と、左対右の構図にしてしまった。要は、問題の本質を認識することなく、論理をすり替えているだけなのです」
「特集 100人の弁護士を従えて法廷闘争! 慰安婦誤報に反省なし! 元朝日『植村隆』記者の被害者意識ギラギラ」より
「週刊新潮」2016年5月5・12日ゴールデンウイーク特大号 掲載
新潮社
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