学研（がっけん）サイエンスキッズ

男（おとこ）はズボンしかはかないと決（き）めているようですが、そんな決（き）まりはありません。男（おとこ）でもスカートがはきたいならばはいてもかまわないのです。イギリスの北（きた）にあるスコットランドという地方（ちほう）の男（おとこ）の正式（せいしき）な衣装（いしょう）（いしょう）はスカートなのですから。
では前置（まえお）きはそのぐらいにして、問題（もんだい）のスカートとズボンの歴史（れきし）をみてみましょう。
大昔（おおむかし）の洋服（ようふく）は、たった１枚（まい）の布（ぬの）という非常（ひじょう）に簡単（かんたん）（かんたん）なものでした。これは大（おお）きな風呂敷（ふろしき）（ふろしき）のようなものと考（かんが）えてください。男（おとこ）も女（おんな）も大昔（おおむかし）はこれを体（からだ）にまきつけていただけでした。つまり、洋服（ようふく）というのは、どちらかといえばスカートのようなものから始（はじ）まったのです。
ところが、今（いま）から６００年（ねん）ほど前（まえ）のヨーロッパで、ズボンのようなかたちをしたファッションが登場（とうじょう）しました。これは、それまでの洋服（ようふく）にくらべて、馬（うま）に乗（の）るときに便利（べんり）だったため、男性（だんせい）の間（あいだ）で流行（りゅうこう）しました。
これは長い間（ながいあいだ）続（つづ）きました。その間（かん）、スカートもズボンも形（かたち）はかなり変化（へんか）していきました。しかし、このときから、男（おとこ）はズボン、女（おんな）はスカートというファッションが定着（ていちゃく）していったのです。
昔（むかし）は女（おんな）の人（ひと）はズボンをはきませんでした。しかし、今（いま）から200年（ねん）ほど前（まえ）あたりから、次第（しだい）に女（おんな）の人（ひと）もズボンをはくようになってきたのです。この理由（りゆう）は、何（なん）といってもスカートよりズボンの方（かた）が動（うご）きやすかったからでしょう。こうしてだんだんと女（おんな）の人（ひと）もズボンをはくようになってきたのです。
このように、大昔（おおむかし）は男（おとこ）もスカートのようなものをはいていたのです。しかし、その後（ご）長い間（ながいあいだ）ズボンばかりはいていたために、スカートをはいていたころのことはすっかりわすれてしまったのでしょう。しかも、今（いま）さらわざわざ動（うご）きにくいスカートをはく必要（ひつよう）もなかったのです。今（いま）、男（おとこ）がズボンしかはかない理由（りゆう）は、このあたりにあるようです。
ところで日本（にほん）では、昔（むかし）は男（おとこ）も女（おんな）も着物（きもの）をきていました。今（いま）のように、ズボンやスカートをはくようになったのは、明治（めいじ）時代（じだい）に外国（がいこく）のまねをしたのが始（はじ）まりであり、歴史（れきし）は浅（あさ）いのです。