5両目車軸2本が右側に脱線 ATS壊れる
池袋−上板橋駅間で終日、運転見合わせ
18日午後0時12分ごろ、東京都板橋区の東武東上線中板橋−大山駅間で、走行中の成増発池袋行き上り普通電車(10両編成)が脱線し、停車した。乗員・乗客約400人にけがはなかった。乗客は駅員らの誘導で線路上を歩き、手前の中板橋駅(板橋区)に避難した。国土交通省運輸安全委員会や警視庁板橋署が原因を調べている。
東上線は池袋−上板橋駅間で終日、運転を見合わせた。東武鉄道は19日始発からの運転再開を目指すとしている。
同署によると、電車は中板橋駅から約200メートルの地点で停車し、前から5両目の車軸4本のうち、後ろの2本が右側に脱線した。中板橋駅を出て約50メートルの地点から約200メートルにわたって枕木に車輪と接触したような跡があり、線路に設置された自動列車停止装置(ATS)が壊れていた。電車は脱線したまま走行したとみられる。
運輸安全委は鉄道事故調査官3人を派遣した。調査官によると、脱線した車輪はレールから約10センチずれ、この車輪を支える台車の中心部に10センチほどの亀裂があった。中板橋駅のすぐ近くにある急行と普通電車の切り替えポイントの手前から、線路に車輪の跡が残っていたという。枕木の損傷は脱線した車輪がつけたとみられる。
板橋署によると、乗客が車両内の緊急停止ボタンを押し、運転士がブレーキをかけた。車掌が確認すると、車両下部から煙が上がっていた。この乗客は前から6両目に乗っており「前の車両が上下にグワングワンと揺れていた」と話しているという。運転士は「何かにぶつかったことはない」と話している。
東武鉄道によると、運転士は時速約30キロで走行中にブレーキをかけた。「中板橋駅を出発してから加速が悪かった」と話している。停車した現場は緩やかな右カーブで、付近の制限速度は時速35キロ。脱線事故の6分前に同じルートを別の普通電車が通過したが、問題はなかった。
事故車両は国土交通省令に基づく8年ごとの全般検査(全部分解)を2009年11月、4年ごとの重要検査(重要部分解)を13年5月、3カ月ごとの検査を今年3月に実施した。6日ごとの自主的な検査は16日に行ったという。【深津誠、高橋昌紀、春増翔太】