遺伝子組み換え(GM)作物が米国で導入されて20年。その影響は消費者にどう広がっているのか。米国で消費者運動に取り組む「責任ある技術者協会(IRT)」の創設者で、遺伝子組み換え問題の著書や映画で知られるジェフリー・M・スミス氏が、福岡市であった講演で「日本でも多くの人に関心を持ってほしい」と呼びかけた。

 スミス氏は遺伝子組み換えの問題点として、DNAが壊される過程を指摘。さらに殺虫能力が組み入れられ、毒性を持つ植物を人や動物が食べていること、除草剤で枯れないGM作物の畑で強力な農薬が散布されるようになっていることを挙げた。

 講演では、ネズミなどの動物実験の例に加え、獣医師らの報告や畜産農家への聞き取り調査結果を紹介。ペットや家畜の胃腸機能や免疫力の低下、低妊娠率などの問題が、GMではない餌に変えると改善した事例が多くあるという。

 「デンマークのある豚農家が非GMの餌に変えたところ、えさ代は上がったが豚が健康になり、1頭あたりの利益は120ドル増えた」

 監督したドキュメンタリー映画「遺伝子組み換えルーレット」も上映。GM作物の健康への影響、大手種子・農薬メーカーと米政府機関の関係などについて、資料や証言を交えて切り込む内容だ。米国の消費者の間でもGMへの意識が高まり、大手メーカーを含め食品への表示が広がっているという。

■インタビュー

 日本国内では市場向けのGM作物は栽培されていない。一方で、米国やカナダ、ブラジルなどからGMトウモロコシや大豆、ナタネなどが、加工食品の原料や飼料向けに大量に輸入されている。日本の消費者はどう向き合えばいいのか。スミス氏に聞いた。

 スミス氏は「米国ではさまざまな疾患が増え、GM作物が原料となった食品を食べなくなった多くの人が健康を取り戻したことが、この10年でみえてきた。日本はGM作物の輸入をやめるべきだ」と話した。

 食品への表示制度について、スミス氏は「現在、64カ国でGMに関する何らかの表示制度があるが、その中では日本が最も消費者に不親切」と指摘。日本での表示対象は豆腐や菓子などの主原料に限られ、食用油や調味料、畜産飼料などは表示されない。「欧州では消費者の要求で不完全な表示制度が改善された」とし、日本でも消費者が声を高めることが重要だと語った。

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http://www.asahi.com/apital/medicalnews/focus/(後藤たづ子)