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時間がない!といつも言っている人に捧ぐ意識革命のすすめ

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 今、あなたはなぜこの記事を読んでいるのか?

「何か役に立つことが書いてあるかも?」「人のブログを読んでると、こんなこと書く人もいるんだと分かって視野が広がる」「人のブログを読む時間は自分にとってリラックスできる貴重な時間だ」など、ブログを読むという行為に意味を見出して積極的に読んでいるのであれば読み進めてほしい。

もし特に理由もなく暇つぶしで読んでいるのであれば、せっかく読んでいただいている立場で恐縮ではあるが、ここで読むのを止めてほしいと本来なら言いたい。だが、今回に限ってはそういう人ほど読み進めてほしい。

これから「空白の時間をどう埋めるか」を反射的に考えて1分1秒を過ごそうという意識革命について書いていくから。

100年以上前の本

今月発売になっていて、僕は本屋に並んでいるのを手にとって読んだのだが、『自分の時間』は1908年に英国の雑誌で紹介され、書籍化されたもの。

100年以上も前に「時間の使い方」に関する啓発的な本が書かれていたのも少し驚きだが、読んでみると著者が暮らした当時のロンドンの労働者の生活が今の日本のビジネスパーソンとほぼ同じであることに更に驚いた。電車の待ち時間や通勤時間は当時からあったし、平日の仕事終わりの過ごし方もだいたい同じ。

訳者の渡部昇一は1958年にオックスフォードではじめて本著を読んだそうだ。100年前に書かれて、訳者が50年前にはじめて読んだものを、今僕が読んでいる。それだけで「時間」という大きな流れへの畏怖にも似た不思議な感情を覚える。


時間が与えられているという奇跡

朝、目覚める。すると、不思議なことに、あなたの財布にはまっさらな24時間がぎっしりと詰まっている。そして、それがすべてあなたのものなのだ。これこそ最も貴重な財産である。

まずは時間をどう使うかはあなたの自由だという前提を再認識したい。誰もあなたから時間を取り上げることはできない。完全にあなたの自由なのだ。

今日は平日だから会社に行かなければいけない。本当にそうだろうか?真実は「会社に行かなければならない」ではなく「会社に行かなければ生活できない」と思うあなたが自由意志で選択しているだけだ。


「空白の時間をどう埋めるか」意識する

そうは言っても今日も明日も会社に行くことに変わりない。それなら「空白の時間をどう埋めるか」を考えていこうというのが、本著の大枠の趣旨だ。

空白の時間は「内なる時間」とも書かれていて、つまりは仕事をしている時間以外のすべての時間のことである。著者は16時間と書いているが、15時間(仕事が9時間)の人もいれば、12時間(仕事が12時間)の人もいるだろう。

時間は誰に対しても平等に与えられるが、過ぎ去っていく現在は後から使うことはできないし、明日の時間を前借りすることもできない。今、あなたがぼーっと外を眺めている時間は、もう二度と戻ってこない。これをひと時も忘れず、貴重な1分1秒を意味をもって使うという意識が何よりも重要だ。


空白の時間の使い方

では空白の時間で何をすれば良いのか。当時のロンドンに暮らす人たちの特性上、文学とか詩とかが例に出されているが、かいつまんで言うと知的なことであれば何でもいいということだ。

自分がこれからやりたい仕事につながるものがいいだろう。僕は読書はかなり良い選択肢だと思っている。ニュートンが「巨人の肩の上に立つ」と述べた通り、人は過去の人の上に知識を積み上げていくもので、そうでなければ科学も社会も発展しない。これは断言できる事実だ。

複雑化した現在の社会では、どの知識が自分の仕事や人間関係に関わってくるか分からない。それなら、自分のキャリアや専門性を軸として波状的に知識をザッピングしていくような読み方の読書を僕はおすすめする。

一例として読書をあげたが、これだ!と思う将来につながる投資であれば何でもいい。

もう一つヒントとして著者はアウトプットを出すことをすすめている。ブログは自分で考えた思いをつづる一つの良いツールとして思い浮かぶ。ネット上ではブログ以外にも色々発信ツールは転がっているので、他の方法でも、別にネットでなくても良いだろう。


今から小さくはじめる

毎日1時間、いや2時間はこれをやる!などといきなりアグレッシブなスケジュールを立ててはいけない。「ただ始めさえすればよい」と著者も書いている通り、まずは小さなことから即始める。他人に予告なんていらないし、自分への約束なんてどうせ破られるのだからしない方がいい。

ただ始める。本当に意義を感じてやりたいこと、やるべきことであれば自然とモチベーションは加速して、多くの隙間時間を割くようになっていくはずだから。


朝の1時間は夜の2時間以上の価値がある

やりたいことが軌道にのってきて習慣化してきたら、朝にその時間をもってくると良い。朝は夜の2倍以上の価値があるというのはかなり真実味を帯びている。

疲れていないし、出勤時間まで限られているので集中できる。僕もブログは朝書いているが、夜に書いたら集中できないどころか、ペースは確実に落ちるのが目に見えている。

例外として、暗記モノとか情報をインプットする活動は夜が適している。睡眠している間に複雑にからんだ情報が整理されて頭がクリアになるからだ。


1週間を6日として計画する

これも結構使えそうだ。毎日毎日、時間の使い方に気を張っていたら神経がもたない。やる気を保つためには週に1日ぐらいのバッファーが必要だろう。

その日は「自分が最もリラックスできること」を予め見つけておいて、それに費やすのが良い。海や山にいったり、リラックスできて次の日から知的な活動ができるようであれば何だっていい。


最後に

隙間時間で何も知的なことをする材料がないときは、何か集中して考えごとをする。そうすることで自分の脳のメンテナンスをすると良いとのこと。

コンサルタントの大前研一は若いころから電車で目に入ってくるもの片っ端からビジネスモデルを想像して、2、3分で勝手にコンサル提案を考えることを習慣にしていたそうだ。そこまでではなくとも、「暇だなー」とぼーっと外を眺めているのではなく、頭を意図的に回転させれば暇も暇でなくなる。これも意識して試してみてはどうだろうか。