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【社会】

西洋美術館が世界遺産へ コルビュジエ作品、3度目の正直

ル・コルビュジエが設計した国立西洋美術館=東京・上野公園で、本社ヘリ「おおづる」から(川上智世撮影)

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 政府に十七日入った連絡によると、東京・上野公園にある国立西洋美術館を含む七カ国十七施設の「ル・コルビュジエの建築作品」を世界文化遺産に登録するよう、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が勧告した。三度目の挑戦での登録勧告で、七月十〜二十日にトルコで開かれるユネスコ世界遺産委員会での正式決定がほぼ確実になった。

 世界文化遺産への登録は国内十六件目で、日本の戦後建築では初めて、他国にまたがる例も初となる。

 ル・コルビュジエは二十世紀を代表するフランスの建築家。一九五九年に完成した西洋美術館本館は日本にある唯一の作品で、建物を柱で支え一階部分の壁を取り去ったピロティや、らせん状回廊といったコルビュジエ建築の特徴を備える。展示品の増加に合わせ増床できる「無限発展美術館」の構想を実現し評価されている。文化庁によると、諮問機関は勧告で「十七施設全体で、世界に近代建築運動が広がった歴史を示している」と普遍的な価値を認めたという。

 十七施設には、代表作とされる住宅「サボア邸と庭師小屋」(フランス)や、コルビュジエが都市計画を担当した街「チャンディガールのキャピトル・コンプレックス」(インド)などが含まれる。フランスの主導で七カ国が共同推薦していた。

 当初はコルビュジエの生涯をたどる形で幅広い年代の作品を推薦していたが、二〇〇九年と一一年の審査で登録に至らず、近代建築に与えた影響の大きさを示す特徴的な作品に絞って三度目の推薦をしていた。

 世界文化遺産の審査を受けられるのは一国につき年一件までで、「ル・コルビュジエの建築作品」はフランス枠で推薦された。

<ユネスコ諮問機関の勧告> 国連教育科学文化機関の諮問を受け、専門家でつくる国際記念物遺跡会議(イコモス)が示す世界文化遺産候補の事前審査結果。(1)登録(2)補足説明を求める「情報照会」(3)推薦書の改定を求める「登録延期」(4)不登録−の4段階がある。

 

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