法の支配――。民主社会の背骨をつらぬくこの考えを、議員はどこまで理解し…[続きを読む]
中国・習近平(シーチンピン)政権は、台湾の人々を「同胞」と呼ぶ。台湾を…
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中国・習近平(シーチンピン)政権は、台湾の人々を「同胞」と呼ぶ。台湾を祖国に統一する宿願を込めているはずだった。
ところがいま、習政権が示す態度は、その言葉とは裏腹だ。台湾への観光客を絞り、経済や学術の会議も見送りがめだつ。
台湾で20日、国民党から民進党に政権が交代することに対し、習政権が牽制(けんせい)にでているとみられる。中国の台湾交流責任者は最近、「本当の兄弟のように腹を割って話はできない」と、台湾側に警告めいたことを語った。
こんな強圧的な態度で未来志向の中台関係が築けるとは思えない。台湾の民意が選んだ新政権に、中国政府は謙虚に向き合うべきである。
台湾では過去8年間、国民党が政権を担った。国民党はもともと中国の政党であり、台湾を含めて「中国は一つ」との認識のもとで対中関係を深めた。
だが民進党は、中国との関係を重視してはいるが、「台湾は中国とは別の主権国家」とする立場だ。中国側はかねて、その原則論の撤回を求めて様々な圧力をかけてきた。
スイスで来週開かれる世界保健機関(WHO)総会をめぐっても、動きがあった。オブザーバーである台湾への招請状が遅れたうえ、「一つの中国」の原則に沿った招請である旨が明記されていた。台湾側は、WHOを通じて中国が突きつけた「踏み絵」とみている。
ケニアでは台湾の振り込め詐欺容疑者ら45人が捕まったが、先月、台湾でなく中国に「強制送還」された。容疑者引き渡しをめぐりケニア政府への介入があったとして、台湾当局者が中国に強く抗議している。
習政権としては、民進党政権を黙って見ていては国家分裂を認めたも同然、との考えがあるかもしれない。だが、大国の影響力を見せつけるやり方は、国際社会の中で中国の台湾政策への疑問を強めるだけだろう。
中台間の経済関係は緊密になったが、台湾の人々の意識は、逆に統一志向から離れている。分断から67年経ったせいだけではない。中国が軍事的手段による統一という選択肢を捨てていないことや、中国国内で民主化の気配が見えないことを台湾側は問題視している。
「一つの中国」を受け入れろと圧力をかけるだけでは、習政権が台湾の民心を得るのは難しい。台湾の人々が選んだ政権のスタートを、まずは静かに見守る。そして真剣に新たな対話を始めることをめざす。中国にそんな大人の対応を望む。
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