三菱自動車の燃費データ改ざん問題で、販売中の主力車種のプラグインハイブリッド車(PHV)「アウトランダーPHEV」でも机上計算で燃費の基になるデータを算出していたことが17日、関係者への取材で分かった。荷物を積んだ走行試験を省略し、荷物を積まない走行試験から算出していた。担当者は「忙しく業務を減らしたかった」と話しているという。
三菱自は改ざんがあった「eKワゴン」など軽自動車4車種以外に、現在販売中の9車種でも不正の有無を調べていた。このほか多目的スポーツ車(SUV)「RVR」でも机上計算をしていた疑いがある。同社は18日、国土交通省へ報告書を提出する。
関係者によると、アウトランダーPHEVでは車両に重さを加えない状態で走行試験をし、重量の違いによる測定の変化は机上で計算して国交省に提出していた。三菱自動車が正しい方法で再測定したところ、燃費性能に目立った差はなかったという。
社内調査に対し、机上計算した開発部門の社員は「当時は忙しく、走行試験の過程が増えるので業務量を減らしたかった」と説明している。
すでに判明している軽自動車4車種を巡る燃費不正については、不正に関わった開発部門の社員が「日産自動車と軽自動車で初めての共同開発で、燃費目標を達成しなければと強く感じていた」などと説明していたことも分かった。
一連の問題で燃費データの改ざんが明らかになっているのは「eKワゴン」「eKスペース」と、日産に供給していた「デイズ」「デイズルークス」の4車種計62万5千台。これらの開発にあたって三菱自と日産は2011年に共同出資会社を設立。三菱自はeKワゴンとデイズの燃費性能向上の開発を担当していた。