ご飯ででる人もいれば、割り切り、いわゆる援交もある。
食事の場合は、連絡先を交換することも多いのだが、割り切りの場合は、だいたい一回限りの場合が多い。
だが、ごくまれに連絡先を交換することもある。
彼女はそんな一人だった。
お店で見た瞬間、ああ、かなり美人だと思った。
ごくふつうの女子大生やOLもいれば、キャバ嬢もいるし、風俗の子もいる。
いわゆるネカフェ難民みたいな子もいる。
ちなみにそういうのは、本人は言わないが見た目と会話でだいたいわかる。
ああ、話題がそれた。
すらりとしたスタイルと、色白できめ細かい肌、手入れの良くされた髪型とメイクは、他の子よりも確かなアドバンテージだった。
風俗とかキャバっぽさはあまりなく、金のある女子大生かなって印象だった。
10人程度の大抽選となったが、たまたま運良くトーク(個室で1対1で話すこと)ができた。
「割りをしよう」
といってきた。
そのままでは受け入れがたい額だったので、割引などの交渉をして折り合いをつけて出ることになった。
その時、彼女は奇妙なことをいってきた。
「ホテルで待ち合わせにしてほしい」
デリではないので、こういうことを言う子はまずいない。
たまに、知りあいが多いので、ちょっと後ろを歩かせてほしいと言う子はいる。
とはいえ、部屋の中で待ちぼうけにされても困るので、ホテルのロビーで待ち合わせにした。
一緒に部屋に入り、普通にコトをすましたあと、彼女の方から、LINEの交換をいってきた。
少々セックスの仕方が自己中な感じがあったので、会わないでもいいかなと思いつつ、まあ、連絡先くらいなら良いかと思ったので、交換した。
彼女からは、それから一週間後くらいに、今日、会える? と連絡がきた。
たまたま都合が合ったので、会うことにしたのだが、今回もホテルで待ち合わせだった。
彼女はベッドの上で、少し前まで妻子持ちの男とつきあってたこと、大学卒業までに纏まった金額をためたいこと、なんかをしゃべっていた。
そして、ボクに「いま、結婚して!といったら、してくれる?」と冗談なのか本気かわからないことを言ってきて、ボクは曖昧な表情で「1、2回セックスしただけの女と結婚は難しいな」と苦笑した。
それから、彼女からのお誘いは数回あったが、いずれも予定が合わず、いつの間にかフェイドアウトしていた。
そして、ゴールデンウイーク明けに、鶏ささみ寿司の食中毒がおこった。
僕は適当なはてブをしながら、Twitterを見ていたら、ふと気になるツイートが流れてきた。
某アイドルライターが、肉フェスでささみ寿司を(おそらく仕込みで)宣伝する、数人のアイドルのツイートをRTしていたのだ。
彼女だった。
他人のそら似ではない。だって、アイコンがLINEのそれなのだから。
彼女が所属するグループは、多少、アイドルはしってるぼくでも聞いたこともないマイナーグループなようだ。
せいぜい100人程度を相手に歌い踊るタイプの地下アイドルらしい。
かろうじて、新曲がオリコンにギリギリ引っかかるくらいってところか。
ちなみに僕と会った2回の日は、それぞれ、学校のあと買い物した、仕事終わりに街をぶらぶらしたとあった。
まあ、男と援交したなんて書くはずもないか。
かといって、その後、彼女に連絡をとるなんてしてないし、これからもするつもりもない。
まあ、面を出してるわけではないので、しても気付かれることもないと思うが。
しかし、援交なんてリスキーなことをアイドルがようやるなと、無駄な感心はした。
いや、それしつつ、男見つけてんのかもしれんが。