文化庁は17日、フランス人建築家、ル・コルビュジエ設計の「国立西洋美術館本館」(東京・台東)について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関が世界遺産に「記載」すべきだと勧告したと発表した。7月にトルコで開かれる世界遺産委員会で正式に決定する見通し。国内の世界遺産は20件となる。
同館を含む世界中のコルビュジエ作品17点について、日仏など7カ国がフランスの枠を使って共同推薦していた。日本国内の世界遺産候補が他国との共同推薦で登録されるのは初めて。
国立西洋美術館本館は近代建築の巨匠とされるコルビュジエが設計した国内唯一の作品で、1959年に完成した。らせん状の回廊や1階部分を柱だけで構成する「ピロティ」などが特徴。過去に2回世界遺産委員会で審議されたが、いずれも登録は認められていなかった。
日本国内の世界文化遺産は「姫路城」(兵庫県)や昨年登録された「明治日本の産業革命遺産」(福岡、長崎など8県)など15件。自然遺産は「屋久島」(鹿児島県)や「知床」(北海道)など4件ある。
政府は今年の世界遺産委員会で「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」(長崎県、熊本県)の登録も目指していたが、諮問機関の事前審査で不備を指摘されたため推薦を一時取り下げた。