韓国環境部(省に相当)は16日、韓国で販売されたディーゼル車20車種について、一般的な走行時の窒素酸化物の排出量を調査したところ、日産「キャシュカイ」(日本での車名:デュアリス)=排気量1600㏄=が、30分以上走行すると排気ガス再循環装置(EGR)の作動が停止し、室内試験での認証基準値の20.8倍もの窒素酸化物を排出したことが分かったと発表した。環境部は今年3月から先月まで2回にわたり、専門家による検討を経て、この問題が排ガス量の不正操作に当たるとの判断を示したという。同部は昨年11月以降、韓国で814台が販売されたキャシュカイについて、1台当たりの価格(2726万ウォン=約252万円)の1.5%に当たる計3億3000万ウォン(約3100万円)の課徴金を科し、韓国日産を刑事告発する方針を固めた。キャシュカイのほかにも、ルノーサムスン自動車のQM3が基準値の17倍の窒素酸化物を排出するなど、20車種のうち19車種が室内試験時の認証基準値を上回ったという。
納得できないのは、世界保健機関(WHO)が発がん性物質と認定した窒素酸化物や煤煙(ばいえん)を、空気中にまき散らすような部品を作った業者に対する課徴金が、3億3000万ウォンにすぎないということだ。米国政府は先月、今回の韓国日産と同様の排ガス量の不正操作を行ったフォルクスワーゲンに圧力を掛け、会社側が10億ドル(約1090億円)を支出し、48万台の所有者から車を買い取るか、十分な賠償を行うということで合意した。会社が1台当たり2000ドル(約22万円)の負担を強いられるというわけだ。それだけでなく、米国政府はフォルクスワーゲンを相手取り、1台当たり最大3万7500ドル(約409万円)の罰金を科すことができる法令を適用し、訴訟を起こした。一方で韓国環境部が日産に科した課徴金は、1台当たり40万9000ウォン(約3万7800円)にすぎない。