【ソウル=小倉健太郎】韓国環境省がディーゼル車の排ガス不正に厳しい姿勢を示し続けている。16日には日産自動車のディーゼル車「キャシュカイ」で不正があったと判断したと発表した。同省は1月に排ガス不正が発覚した独フォルクスワーゲン(VW)の関係者を刑事告発したばかり。韓国では乗用車の新規登録に占めるディーゼル車の比率が4割を超え、消費者の関心が高いことが背景にありそうだ。
韓国ではVWの不正発覚後、同社以外の20車種を検査しており、その中でキャシュカイの問題が浮上した。エンジンの吸気温度がセ氏35度になると排ガス浄化装置が停止し、窒素酸化物(NOx)の排出量が増えるという。この現象を、日産が意図的に燃費を良くしようとした可能性があると環境省は指摘した。
これに対し、日産のカルロス・ゴーン社長は16日の日本経済新聞の取材で「どのような不正もしていない」と強調した。日産は同日時点で詳細な説明をしていないが、エンジンが高温になると損傷を避けるために浄化装置を止めること自体はよくあり、燃費を良くするための不正ではないという立場とみられる。
韓国環境省は日産側の説明を聞いたうえで、5月中にも現地法人社長を刑事告発する構えだ。韓国でのキャシュカイ販売実績は814台。環境省はリコール(回収・無償修理)命令のほか、課徴金3.3億ウォン(約3千万円)の納付も命じる方針だ。