「自らの権威付けのための自己演出という側面もある。3代目の後継者として強い指導力を発揮して核保有国として『正恩体制』を強調しようとする姿勢の表れだ」
自国の「核・ミサイル」政策では強硬路線を貫いた正恩氏だが、「世界の非核化を実現させるために努力する」「資本主義国とも交流と協力を発展させるべきだ」などと米国や韓国、日本に歩み寄るかのような発言も繰り返した。ただ、「韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領には南北軍事会談を提案しており、今後、米国にも同様の歩み寄りを見せるものとみられる。もっとも、この平和協調路線は信用できるものではない」(高氏)。
正恩氏は、金正日総書記から権力を継承した2011年当時から50キロ増量して130キロ台になったとされる。一時は「痛風の症状が深刻化している」との情報も伝わったが、健康不安が暴走の引き金を引く可能性も取りざたされている。
高氏は「病状が悪化して、自暴自棄になると、『道連れにしよう』という思考が働く恐れはある。党や軍内部には複数の優秀な参謀役がいて、彼らが正恩氏の強硬路線を軌道修正している面がある。正恩氏の精神状態が悪化して今後、暴走を止める役目を果たす者たちを粛清すると危険度はさらに増す」と指摘している。