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タックスヘイブンの話は、前に述べた。
→ タックスヘイブン対策
そのあとさらに調べると、とんでもないことがわかった。実は、日本もまたタックスヘイブンなのである。要するに、企業は税金をほとんど払わないで済む。
「そんな馬鹿な!」
と思う人は、情報を知らないだけのことだ。ググればすぐに事実がわかる。
→ 税金を払っていない大企業(検索)
代表的な例として、トヨタ、三井住友、ソフトバンクという3社がある。
(1) トヨタ
トヨタは5年間、ずっと法人税を払ってこなかった。
→ 法人税 トヨタ 5年 - Google 検索
(2) 三井住友
三井住友銀行は 15年間、ずっと法人税を払ってこなかった。
→ 三井住友 法人税 15年 - Google 検索
(3) ソフトバンク
ソフトバンクは、利益の 0.006%しか税金を払っていない。
→ ソフトバンク 法人税 - Google 検索
これは 2014年のデータだが、最近はどうかというと、
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では、どうしてこういうことが起こるのか? これは、次のページに記してある。
→ 純益2兆円なのに。トヨタが5年も法人税を免れた税法のカラクリ
一部抜粋しよう。
トヨタが、5年間も税金を払っていなかった最大の理由は、「外国子会社からの受取配当の益金不算入」という制度です。これは、どういうことかというと、外国の子会社から配当を受け取った場合、その95%は課税対象からはずされる、ということです。
たとえば、ある企業が、外国子会社から1000億円の配当を受けたとします。この企業は、この1000億円の配当のうち、950億円を課税収入から除外できるのです。つまり、950億円の収入については、無税ということになるのです。
トヨタは詳細を公表していませんが、この「受取配当の非課税制度」を利用して、税金を免れていたことは明白です。
要するに、同じく 1000億円の利益を上げるにしても、その利益を上げた場所を、日本でなく外国であることにして、外国からは配当収入の形で受け取ることにすれば、帳簿の操作だけで、日本における納税額を 5% まで激減させることが可能なのだ。
これは、外国子会社配当益金不算入という制度である。この制度のおかげで、日本の会社はタックスヘイブンみたいな恩恵にあずかれるのだ。
トヨタの場合は、たぶん遠慮がちにやっているので、海外子会社のある現地で納税しているのだろう。だから、2012年は別として、2013年度〜2015年度 の決算報告書では、「法人税等」の項目で、税引き前利益の3割ぐらいに当たる額を納税している。(法人住民税など。)
一方、ソフトバンクの場合は、本気で脱税(節税)に力を入れているようだ。たぶん、ケイマン諸島のようなタックスヘイブンを利用している。そこにある子会社に利益を移転してから、今度は配当金の形で利益を日本の本社に移す。すると、日本の制度では(上記のように)配当金にはほとんど課税されないから、実質的には無税みたいになる。
ここでは、「外国子会社配当益金不算入」という制度が決定的に重要だ。この制度のおかげで、日本の企業は法人税をほとんど払わないで済ませることが可能だ。それを実施しているのがソフトバンクだ。(たぶんホリエモンもそうだ。)
というわけで、日本は「企業が税金を払わないで済む」という制度があるわけで、事実上、タックスヘイブンも同然となっているわけだ。
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では、このような「税逃れ」は、国全体ではどのくらいの規模で進んでいるか? それを知るには、国際収支のうちの「所得収支」を見るといい。
出典:経産省
日本では近年、所得収支が急増している。経済の伸びをはるかに上回る規模だ。アメリカの所得収支をも上回る。
なぜこれほどにも所得収支が急増しているのか? 一例は、次の答えだ。
「日本の技術力が急激に増加しているので、外国からの特許料収入が増えている」
しかし、日本の企業の実力を知れば、そんな説は成り立たない、とわかるだろう。特許のランキングを見ても、日本は近年、落ち目になる一方だ。部分的には、韓国の後塵をも拝している。有機ELに至っては韓国に完全に抜き去られた。人工知能でもまったく後れている。日本の技術開発力はお寒い限りだ。
ではなぜ、これほどにも所得収支が急増しているのか? 答えは簡単だ。こうだ。
「節税のために、所得を子会社に移転して、所得を子会社からの配当の形にしているから」
この場合には、「子会社からの配当」という形を取ることで、納税を免れる。それが、統計上は、「所得収支」に組み込まれるわけだ。
つまり、日本が技術的に劣っているにもかかわらず、所得収支の額が信じられないほど急増しているのは、企業が脱税(節税)する形で、納税を免れているからなのだ。
そして、グラフによれば、その額は 100億ドル(1兆円)を越えている。これは 2005年までのデータだが、最近のデータでは、何と 20兆円まで急増している。
→ 平成27年中 国際収支状況(速報)の概要 : 財務省
この所得収支の全額がそうであるわけではないが、とにかく、その大部分は企業の子会社からの配当という形で、節税のためになされた額だと推定できる。(そうでなければ急増するはずがない。)
仮にその分が 20兆円のうちの 15兆円だとすると、その3分の1ぐらいにかかる法人税は5兆円ぐらい。つまり、5兆円ぐらいが脱税されていることになる。これは、国全体の法人税の 11兆円という額の、半分ほどに相当する。それほどの額が、脱税されているわけだ。「外国子会社配当益金不算入」という制度のおかげで。
これが、日本がタックスヘイブンであることの証拠だ。(企業にとって、だが。)
[ 付記1 ]
では、どうすればいいか?
もちろん、このひどい制度を改正しよう、という動きがある。しかし例によって、自民党の反対によって、実現しないようだ。それどころか、法人税をさらに引き下げようとすらしている。盗人に追銭。
[ 付記2 ]
では、どうすればいいか? 私としては、次のように答えよう。
第1に、「外国子会社配当益金不算入」という制度を廃止する。脱税をするための制度(タックスヘイブンみたいな制度)を廃止する。
第2に、経理を明朗にする。
ついでに、子会社との所得のやりとりも公開させるといい。また、租税回避国にある子会社との財務関係も公開させるといい。これらも、脱税や所得隠蔽を回避するために必要だ。この件は、先の項目とも関連する。
→ タックスヘイブン対策
つまり、所得隠しは、株主にとっては「利益隠し」に当たるから、そんなことをされたら、株主の損失になる。だから、そういう「株主にとって損失になる行為」が行なわれないよう、株主が監視できるようにするわけだ。このことで、利益を租税回避国に移すことを阻止する。
[ 付記3 ]
トヨタの決算報告(最近の分)を見ると、「法人税等」という項目の額が、税引き前利益の3割程度となっている。これを見ると、「ちゃんと払っているな」と思うかもしれないが、きわめて怪しい。「法人税等」と記して、「等」という文字が付いているのも怪しい。
実際、この「法人税等」というのは、どこの国に払ったか記していないのだ。実際には、海外の国に大部分を払って、日本ではほとんど税を払っていないのかもしれない。その疑いは十分に成立する。
こういう事情を明かすためにも、決算では納税額をきちんと記すことを義務づけるべきだろう。今の会計はあまりにもおおざっぱすぎる。株主にとっても不利益だ。ひどすぎ。
( ※ 経理がこういうデタラメな状況だから、東芝やオリンパスの不正会計が成立する。もはや先進国とは言えない状況だ。アフリカの途上国みたい。)
[ 付記4 ]
トヨタの法人税額がわかった。決算書の最後のあたりに、連結決算のかわりに、個別決算が記してある。それを見ると、次のことがわかる。(単位は 百万円)
《 2016年3月 》
経常利益 2,284,091
法人税他 486,500
《 2013年3月 》
経常利益 856,185
法人税他 69,000
計算すると、納税額は
・ 2016年 21%
・ 2013年 8%
となる。
なお、「法人税他」とは、「法人税、住民税及び事業税」のこと。(決算書にそう書いてある。)
ともあれ、2兆円を儲けても、税負担は 21%だけ。8500億円を儲けても、税負担は8%だけ。何ともまあ、低率なことか。これほど税率が低いのに、安倍内閣は、「日本の法人税の実効税率は 40%ぐらいあって高いので、20%台まで下げる」と言っている。10%以上も引き下げるつもりだ。これだと、8%しか払っていないトヨタは、無税になるな。
[ 付記5 ]
トヨタがこれほどにも納税を免れている方法については、次のサイトに解説があった。(共産党の新聞記事の転載。)
→ トヨタが5年間法人税を納めなかった優遇税制のからくり
他に、納税額のデータも見つかる。(日刊現代の転載。)
→ 法人税率引き下げは必要か すでに軽すぎる大企業の税負担
【 追記・訂正 】
ソフトバンクについて「納税額が公表されていない」と記したのは、私の勘違いだった。よく見たら、記されてあった。私は会計のことはよくわからないので、見誤ったようだ。お詫びして訂正します。
なお、私が見たのは、ググって出てきたページ。
→ 2015年度 | 説明会資料・動画 | ソフトバンクグループ
しかし正しくは、次のページを見るべきだった。
→ 有価証券報告書・四半期報告書 | 業績・財務 | ソフトバンクグループ
Google の検索は当てにならない、という見本。「内容がぴったり合致する」というページよりも、「日付の新しいページ」が上位に表示される。そのせいで、不適切なページをクリックしてしまうことがある。
なお、決算書を見ると、ソフトバンクはちゃんと納税しているように見えるが、トヨタも同様だった(ちゃんと納税しているように見えてもそうではなかった)ので、はっきりとしない。私としてはこれ以上、あまり述べないでおく。
《 参考 》
「ソフトバンクが納税していないというのは、デタラメだ」
と記しているページがある。
→ 大企業は税金を払っていないとうデタラメが出回っているので解説します
これは、本項で扱っている話題と重なるが、間違った解釈の方だ。つまり、
「親会社の配当には課税されないが、子会社は先に納税しているから、問題ない」
という主張だ。しかしながら、子会社が先に納税しているとは言えない。子会社がタックスヘイブンにあるなら、子会社は納税していないからだ。
この手法を使って、納税を回避しているのが、Google や Apple だ。Google や Apple は、実際に納税を回避しているし、それゆえ、世界中で問題視されている。上の人の理屈だと、Google や Apple が納税を回避している、という事実を認識できないことになる。
タイムスタンプは 下記 ↓
タイムスタンプは 下記 ↓
要するに「税逃れを認めるな」ということ。そのためには、形式的には二重課税も辞さない。実質的に二重課税するわけではない。
そうですか。
私は税金が増えた方が、より富の再配分につながってよい(効率が良い)と思います。
また、実際のソフトバンクの有価証券報告書を見てみると、2015年度にも税金額かいてますね。年度はまだ作られていないようですが、何を見て公表されていないと?
http://www.softbank.jp/corp/irinfo/financials/security_reports/
まあこの有価証券報告書自体不思議です。
税金より上が全て違うのに、税金は変わらず5百万円って不思議ですね。税金は均等割だけなのでしょうか? 調整額があるのに、ぴったり同じって不思議ですね。調整額に差額を全部含めてしまってる?(それともまさかのリボ払い?(笑))
それはこの記事の内容が基本的にすべて誤っているからです。
他の視点からも《日本もタックスヘイブンだ》とは誰も言わないでしょう。
富岡氏の著書からこの記事のような考えを持つ方が増えたのですが、基本的にこの本は誤りです。
ただ、いまのパナマ文章とどこか似たように世間の話題になってしまったのです。
この記事は氏の著書の内容をなぞっていますが、氏の名前が出てこないところを見ると…、残念でなりません。
すいませんが図書館などに出向いて様々な関連書をまずお読みになると良い。
知識のつまみ食いはよくありません。
なぞっていませんよ。あなたの勘違い。本項の最後の 《 参考 》 のところで解説してあるので、そこを読みましょう。あなた、そこを読まずに書いているでしょ?
> それはこの記事の内容が基本的にすべて誤っているからです。
あなたは富岡氏の著書に基づいているから、そう思うだけ。私は別の論拠を示しています。たとえば、トヨタが5年間納税していないことは、トヨタの社長自身が言明しているとわかります。
こういう明白なデータがあるのに、それらを「間違いだ」と論じるあなたは、トヨタの社長が決算について嘘をついている、と断じているのも同様。デタラメの極みですね。
勝手読みしないで、私の文章をちゃんと読んで、リンク先の資料を確認しましょう。そうすれば、ちゃんとした根拠も見つかります。
タックスヘイブン関係の2記事を拝読いたしました。
基本的な知識が大幅に不足しているという点はさておき、総論的に、「1.ネットの情報に頼り過ぎ」という点と、「2.日本語の情報に頼り過ぎ」という点を指摘させてください。
1.については、言うまでもありませんが、テーマがディープになればなるほど、ネットで入手できる(正確な)情報には限りがあります。
タックスヘイブンというマニアックなテーマについて、多少ググった程度のペラペラな情報をベースに議論を展開するのはそもそも無理でしょう。
一定のレベル以上の書籍を紐解いた上で、始めて議論のスタートラインに立てるテーマかと思慮します。(それが理解できる専門知識があることが前提ですが。)
2.については、話題がグローバルな場合にのみ当てはまりますが、例えば、タックスヘイブンというテーマを調べる場合、それがネット検索であれ、書籍であれ、英語を使うと日本語の100倍あるいはそれ以上の情報収集が可能になります。
情報の量のみならず、情報の質、そして行われている議論のレベルも上ですので、国際的なテーマについて語るとき、英語での十分なリサーチとスタディが前提にない議論はほぼ価値が無いといっても過言ではないでしょう。
本テーマについて、一例を上げれば、
「The Hidden Wealth of Nations」
「Treasure Islands: Tax Havens and the Men who Stole the World」
など、タックスヘイブンを扱った良質な書籍がありますので、こういった情報にアクセスすることが最低限必要となります。
(Kindle英語版で入手できます。ハードカバーであれば翻訳本が出ているかもしれませんが、kindleでは日本語版はないと思います。)
仮に、以上を踏まえることができれば、この問題に対する貴殿の理解も多少は前進する可能性はあるかと思います。
ただし、これを実行した場合の副作用としては、自分の知識不足・理解不足・思考不足に気づかされ、恥ずかしさのあまり2つの記事を速攻で削除したくなるということかと想像します。
そういう意味では、低いレベルの理解・議論で満足していた方が幸せということも十分あり得ますので強くはお薦めはしません。自己責任でお願いします。
追伸:
本ブログが、素人による素人のためのゆるい情報発信の場であるのならば当コメントは削除してください。個人の楽しみにケチを付けるつもりは毛頭ありませんし、管理者様ならびにコミュニティの方々を不快にさせるとしたらそれは私の意図するところではありませんので。
「オレ様はオマエらより よ〜く知ってるんだぜ ヘヘン」 と言うわけですね
知識はあるが知恵がない 知ったかぶりの 典型ですね。
管理人さんの間違いを指摘していい気になってるのは 滑稽ですよ。
ご自分のブログで披露すればよろし
批判などではなく 管理人さんをうならせる秀逸なコメントをしてやろうって思わないのかなぁ ┐(´д`)┌ヤレヤレ
本項は、タイトルは「タックスヘイブン」ですけど、これは比喩的な表現です。内容は、「日本はタックスヘイブン並みに、大企業の課税がザルになっている」ということです。
比喩はあくまで比喩なので、きちんと理解してください。
こんなこと、いちいち言うまでもないことだと思うのだが。
ちなみに、本項では、ケイマン諸島も、パナマも、Google やアップルの租税回避も、話題となっていません。これらについて論じるなら、タックスヘイブンの知識が必要でしょうが、私はそれらについては論じていません。
私が論じているのは、日本の租税制度の欠陥です。外国の税制のことはあまり関係ありません。
タイトルばかりにとらわれず、ちゃんと本文を読んでください。どうも、タイトルだけ読んで、短絡的に反発する人が多すぎる。脳のキャパシティが 20文字分ぐらいしかないのだろうか。
> 国際的なテーマについて語るとき、英語での十分なリサーチとスタディが
本項は、日本の租税制度について論じているので、英語情報を見ても意味がありません。
どうも、話を最初から勘違いしているようですね。いわゆる「勝手読み」。
頂いたという意味で、管理人殿には感謝します。
「消費税の輸出戻し税」批判と同類ですよね。