韓国人パイロットの中国航空会社転職が急増

年間給与2-3倍、飛行時間は年300時間減
キャリアが必要とされる機長、中国で即時養成困難
機長昇進早い格安航空会社への転職も増加

 中国が受け入れる韓国人パイロットはすべて機長だ。中国政府は1年に2000-3000人の新パイロットを養成しているが、飛行時間4000時間、離着陸経験350回といった機長の資格があるパイロットは短期間で養成できない。国際航空法上、旅客機は必ず機長と副機長が同乗しなければならないため、中国は副機長の数に比べ機長の数が大幅に不足している。

 このため、機長になれるキャリアを持っていながら副機長にとどまっている人材が、格安航空会社の機長になるケースも増えている。まず韓国の格安航空会社で機長になってから、中国の航空会社に転職するのだ。大韓航空やアシアナ航空の場合、平均7年ほどで機長として必要なキャリアを満たせる。しかし、機長と副機長の数がアンバランスなため、機長になるには14年間も副機長をしなければならない。だが、チェジュ航空やエアプサンなどの格安航空会社は4-5年副機長として勤務し、条件を満たせば機長に昇進できる。昨年8月に中国海南航空に転職したDさん(42)は、大韓航空に入った後エアプサンに転職、パイロット経験7年で機長になった。Dさんは「中国の航空会社に就職するため格安航空会社に移った」と話す。大韓航空をやめて格安航空会社に転職した副機長の数は13年に5人、14年に4人だったが、昨年は53人に達した。

 中国の航空会社で働く韓国人機長の勤務環境もほかに比べていい。中国の航空会社は仁川国際空港に離着陸する路線に韓国人機長を優先的に勤務させる。生活拠点を中国に移さず、仁川空港に通えるよう配慮する会社もある。韓国の航空会社はパイロットの飛行時間を増やし、年間最大1000時間までと規定しているが、中国の航空会社は年間最大飛行時間を1000時間から700時間に引き下げた。「福利厚生も韓国の航空会社よりいい」とパイロットは話している。

 機長が抜けた穴のほとんどは外国人パイロットで埋めている。しかし、自身受け取っていた高額の給与を放棄し、韓国の航空会社に転職する外国人パイロットに対し、周囲の目は冷たい。ある外国人機長と一緒にフライトをしたという副機長は「運航中ずっと数独をしていたかと思うと、『お祈りの時間だ』といって自分の仕事を押し付けた」と言った。大韓航空のパイロットは「一時しのぎ的な人材補充が続けば、飛行の安全性が懸念される状況になりかねない」と警告した。

キム・スギョン記者
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