大韓航空に26年間勤務し、2013年に中国南方航空に転職したパイロットAさん(53)は、自身のことを「傭兵」と呼ぶ。Aさんは「ほとんどの中国人が英語ができず、フライトがない日も家族と離れて暮らさなくてはならないのは短所だが、高額給与はもちろんのこと、飛行中のパイロットのストレスを最小限に抑えようという会社の方針などは韓国の航空会社よりもはるかに良い」と言った。中国の航空会社に昨年転職した元大韓航空機長Bさんは「フライトも楽だし、給与がはるかに高い。ほかの機長にも中国に来ることをお勧めする」と話した。中国に行く準備をしているという機長のCさん(49)は「中国に行けば韓国で15年間働かなければ稼げない額を5年で稼げる」と教えてくれた。
中国の航空産業が急成長しているのに伴い、韓国人パイロットが中国の航空会社に転職するケースが増えている。大韓航空では外国の航空会社に転職する機長の数が2013年に9人、14年に2人だったが、昨年は46人に達した。このうちのほとんどが中国の航空会社に転職している。アシアナ航空も状況はほぼ同じだ。中国の航空会社と韓国人パイロットを結び付けるあるエージェンシーの関係者は「中国に進出した韓国人パイロットは14年12月は100人ほどだったが、昨年は2倍に増えた」と語る。大韓航空関係者は「今年上半期だけでも辞表を出したパイロットが昨年に比べ大幅に増えている」と認めた。
パイロットが離職する理由は大きく分けて2つある。韓国の航空会社にいる時よりも2-3倍多い収入とパイロットに対する待遇だ。業界関係者によると、大韓航空では平均14年間、副機長を務めなければ機長になれないが、この場合の年間給与は税引前で1億8000万ウォン(約1760万円)前後だ。しかし、同じキャリアを持つパイロットが中国に行けば年間給与が税引後で2億5000万ウォン(約2300万円)以上を保障される。中国のパイロット・エージェンシーが公開した資料によると、海南航空所属の機長の年間給与は税引後30万ドル(約3260万円)だ。韓国の航空会社よりも年収が3-4倍アップすることになる。