死んだこの子も、あそこの家庭も…。「第2のセウォル号事件」として韓国を騒然とさせている殺人加湿器事件。1500人以上の死傷者を出し、潜在的な被害者は200万人を超えるとも言われている。一般家庭で長く使われてきた加湿器用殺菌剤が原因だが、過去に呼吸器障害で死亡したり、障害を持った子供の家族が「うちの子も犠牲者じゃないのか」と続々と怒りの声を上げている。14日にはメーカーの元社長が逮捕されたが、収拾は付きそうにない。
韓国検察は同日未明、最大の被害を出した殺菌剤の製造・販売会社「オキシー・レキット・ベンキーザー」(オキシー社)の申鉉宇(シン・ヒョンウ)元社長(68)ら4人を業務上過失致死容疑などで逮捕した。聯合ニュースなどが報じた。
2011年の事件発覚以来、メーカー関係者の逮捕は初めてで、逮捕者はほかに、同社の元幹部の男2人と、すでに廃業した別のメーカー「バタフライ・エフェクト」の元代表の男。
4人は、肺胞が硬化する「線維化」を起こす薬品を原料に、安全性検査もせずに殺菌剤を製造・販売し、消費者を死傷させた疑い。オキシー社製品では少なくとも247人が死傷した。
「韓国では乾燥する日が多く加湿器は必需品で、国民の5人に1人は問題の殺菌剤を使ったことがあると言われている。それだけに現地では、死んだこの子も病気のあの子も…と不安が不安を呼んでいる」
こう語るのは現地事情に詳しい報道関係者だ。
オキシー社は、英国に本社を置く日用品メーカー「レキット・ベンキーザー」の韓国法人で、同社などが販売した加湿器用の殺菌剤が長く問題視されてきた。