鍼灸治療の効果について、考え方は人それぞれ。
- 気とか宇宙の波動とか霊力など神秘の力で効くと思っている人
- プラセボ(思い込み)であり効果は無いと思っている人
- 神経や免疫に影響を与えて身体に何らかの効果があるだろうと思っている人
私が今読んでいる本「代替医療のトリック」では、「鍼灸治療は痛みや吐き気に若干の効果は認められるが、ほぼプラセボである」と書かれており、WHOで認められた治療効果についても「政治的な意味合いによって認められたにすぎない」とバッサリ斬られてます(涙)
鍼灸治療についての科学的な検証を行った手法と結果について、本を読んだ限りでは充分吟味された内容であり、得られた結果はこれ以上の科学的手法は考えられないところまで、充分に検証された感があります。
しかし、私の体験ではプラセボで説明のつかない現象も多くありました。
- 首の風池に針を刺したら足の柔軟性が増し、前屈が驚異的に伸びた。
- 膝の血海に針を刺したら股関節と膝が固まって、立てなくなった。
- 肘の曲池に針を刺したら鼻づまりが治った
この他にも様々な効果を体験しましたが「自分ですら予想もしなかった効果があった」というものが多々あります。
思ってもみない効果に思い込みなんてものは無いはずですが、これも思い込みと言えるのでしょうか。特に「うなじに針を刺して腰から足首まで柔軟になった」という感覚。こんな現象は考えもしなかったのだからプラセボではなかったと考えてます。
鍼灸治療の欠点は再現性が無いこと
「うなじの風池というツボに針を刺せば柔らかくなる」という体験を再現しろと言われれても、それは無理です。「風池」というツボに刺したとはいえ、それが本当に正しい位置のツボだったのか、刺されたときの姿勢はどうだったのかなど、条件を完璧に再現することは無理だし、刺した人もどんな角度や深さで刺したのか細かくは分からないでしょうから。
しかし、鍼灸治療に携わる人は、こうした小さな奇跡をいくつも体験しているはずで、全国の鍼灸師と患者が、たまたま上手くいったデータを蓄積して共有できたなら、何か鍼灸治療について新しい発見につながるかもしれません。
ディープラーニングなら奇跡の再現方法が見つかるかもしれない
さて、先日のNHKスペシャルで人工知能について放送されました。
人工知能の学習方法は「たまたま上手くいった」というデータの膨大な積み重ねです。
世界一の囲碁棋士に連勝したアルファ碁は、人間なら一生かけてもできない対局数をこなして強くなりました。
自動運転技術のケースでは、最初はぶつかったり止まったりを繰り返していたのに「偶然ぶつからなかった」というデータを蓄積して4時間後にはスムーズな交通ができるようになりました。
このように「偶然うまくいった」という結果を膨大な量だけ蓄積して、その結果を出力するというものでした。
そうなると、鍼灸治療も「偶然上手くいった」というデータをいっぱい蓄積して、そのデータを人工知能によって解析されてゆけば、なぜ鍼灸が効くのかが分かるのではないか。
そんなことを考えると、古い知識と技術のままだった鍼灸治療がようやく発展して、病院で行われている医療が湿布しか出さなかった原因不明の腰痛患者を治す技術が確立するかもしれない。
そんな未来になったら、鍼灸師ではなく機械が針を刺したり灸を据えるのでしょうけど。