東京オリンピック買収疑惑 電通に渦中のコンサルタントとのつながりを聞いた

招致委は電通に「実績を照会」

東京オリンピック招致をめぐる買収疑惑は、国会にその舞台を移した。16日、JOC(日本オリンピック委員会)の竹田恒和会長は、疑惑の渦中にあるブラックタイディングス社のコンサルタント、イアン・タン氏から「売り込みが招致委にあった」と答弁。大手広告代理店・電通にイアン・タン氏の活動実績について確認を求めたと説明した。電通の確認後、ブラックタイディングス社にコンサルティング業務を依頼したことを竹田会長は認めた。

日本オリンピック委員会の竹田恒和会長 Via shugiin.go.jp

衆院予算委で民進党・玉木雄一郎議員の質問に答えた。

これまでの疑惑を整理する

問題のカネの動きは、東京オリンピックの開催が決まった2013年にあった。東京オリンピックの招致委は7月と10月の2度にわたり、ブラックタイディングス社の口座に計約2億2000万円を振り込んだ。当時、国際陸上競技連盟の会長、IOC委員を務めていたラミン・ディアク氏の息子パパマッサタ・ディアク氏は、ブラックタイディングス社の「コンサルタント」、イアン・タン氏の友人だった。

ラミン・ディアク氏 Lintao Zhang / Getty Images

この問題を最初に報じた英紙「ガーディアン」などによると、ラミン氏は国際陸連会長時代にロシア選手のドーピングをもみ消す見返りに、少なくとも約100万ユーロの賄賂を受け取った疑惑があり、フランス当局の捜査を受けている。シンガポールの口座はこのドーピング隠しに絡む金銭授受にも使われていた。ラミン氏の会長時代、国際陸連の「コンサルタント」を息子のパパマッサタ氏が務めるなど、周辺は親族などで固められていた。

疑惑の口座への支払いを通じて、2013年当時、招致委は影響力を持っていたディアク親子に働きかけたのではないか、とガーディアンは指摘する。

2020年、東京五輪決定。その裏に… Afp / AFP / Getty Images

竹田会長が強調する「実績」

この日の国会で、竹田会長は 「本人(イアン・タン氏)から売り込みがあった。電通にその実績を確認したところ『十分業務ができる、実績がある』と聞き、事務局で依頼を判断したと報告を受けた」と話した。

「特にアジア、中東地域での活動実績が強いことに期待した。特に陸上には影響力があると各方面からも聞いていた。国際陸連の会長、親族が関係していることは全く知る由もなかった。ディアク親子の知人の範囲であれば問題ないと認識している」

「ブラックタイディングス社は実績がいろいろあり、決してペーパーカンパニーではない。2015年に北京で開かれた世界陸上の招致コンサルタントなどを務めている。(2013年7月の)1回目の支払いは国際ロビー活動を効果的、効率的に行うため、コミュニケーション戦略の確立、IOC委員の動向、周辺情報の収集を依頼した。(招致が決まった2013年10月の)2回目の支払いは勝因分析を委託した」

ブラックタイディングス社はシンガポールの公営住宅の一室にあり、2014年に業務を停止している。実績を疑問視する指摘について、竹田会長は「依頼した時点では実績があり、ペーパーカンパニーではない」「個人経営も多いので、自宅を会社として登記するのは珍しくない」と強調した。

電通に見解を聞いたところ…

イアン・タン氏の活動について、「確認」したとされた電通の広報担当者は、BuzzFeed Newsの取材に「複数のロビイストについて招致委から、その都度、電通に照会を受けており、その中にイアン・タン氏がいたのは事実だ。イアン・タン氏を含むロビイストについて、電通の知見の範囲内で実績を伝えただけだ。招致委とイアン・タン氏の契約について、電通は関与していない。ブラックタイディングス社とイアン・タン氏の関係も今回の報道ではじめて知った。電通とイアン・タン氏、ブラックタイディングス社との間に、過去に取引は一切ない」と話した。







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