四川省成都=延与光貞
2016年5月16日23時26分
約8万7千人の死者・行方不明者を出した2008年の中国・四川大地震から、12日で8年。多くの子どもが崩壊した学校で犠牲になったが、その責任は今もあいまいなままだ。独自に被害を調べて逮捕され、5年間服役した四川省成都市の譚作人さん(61)は出所後、改めて中国政府に再調査や責任追及を求めている。
発生当時、環境NGOの幹部だった譚さんは、被災地を回るうち、周辺の被害は大きくないのに学校だけが崩壊した現場をいくつも見て、疑問を感じた。仲間と調べ始めると、必要な資材を使わずに手抜きをした「おから工事」が疑われた。「自分にも大学生と中学生の子どもがおり、ひとごととは思えなかった」
3カ月かけて64の幼稚園や学校を訪ね、教師や保護者に話を聞いて原因を探った。詳しい調査を求めて政府に資料として渡すつもりだったが、09年3月に拘束された。直接の容疑は天安門事件をめぐる言論だったが、調査内容の発表を阻止する意図は明らかだった。政権の転覆をあおったとして懲役5年の判決を受け、14年3月に出所した。
地震から8年が経ったが、今も「おから工事」の実態や責任の所在ははっきりせず、調査をした譚さんを訪ねてくる親は後を絶たない。親の一人は「この問題が解決しない限り、心の傷は癒えない」と涙ながらに語った。
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朝日新聞国際報道部
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