三島由紀夫賞に80歳の蓮實重彦さんの「伯爵夫人」

三島由紀夫賞に80歳の蓮實重彦さんの「伯爵夫人」
第29回の三島由紀夫賞の選考会が16日に東京で開かれ、元東京大学学長の蓮實重彦さんの小説、『伯爵夫人』が選ばれました。蓮實さんは80歳で、過去最高齢での受賞となりました。
三島由紀夫賞は、戦後を代表する作家、三島由紀夫にちなんで、新鋭作家の作品に贈られる文学賞です。
第29回、三島由紀夫賞の受賞作が16日に東京都内のホテルで発表され、蓮實重彦さんの『伯爵夫人』が選ばれました。蓮實重彦さんは東京出身の80歳。東京大学文学部を卒業後、パリ大学で博士号を取得し、フランス文学や映画評論などを専門に数多くの評論を発表しました。長年、東京大学の教授として教べんをとり、平成9年からは東京大学の学長を務めました。
受賞作の『伯爵夫人』は、蓮實さんの3作目となる小説で、戦前の東京を舞台に、上流階級の青年が「伯爵夫人」と呼ばれる未亡人と過ごした官能的な時間を過去の回想を交えながら、つややかな文章で描いています。80歳での三島由紀夫賞受賞は、これまでで最高齢となります。
蓮實さんは受賞について、「好きなことを好きなように書いた小説で、知的な操作として書きました。このような賞を80歳の人間に与えるということは、日本の文化にとって非常に嘆かわしく、もっと若い人が取るべきだと思っています」と話しています。