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Life is colourful.

海外移住、ニュージーランド、Web制作、洋楽、料理なんかについて書いてみるブログ

超大企業をやめて海外移住した元ITエンジニアがこの10年でよく聞かれた質問

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ぼくは10年前に会社を辞めた。

従業員数でいえば単独でも連結でも10本の指に入る国内大企業。民間企業とはいえ、いわゆる潰れない会社でITエンジニアとして働いていた。

そして退職後、海外に移住した。

普通の人ならそうそうやらないことだろう。もしかしたら、そんな特異な経験も誰かの役に立つかもしれないので書いてみる。今、会社を辞めようかと悩んでいる人、もしくは海外移住/留学をしたいと考えている人の何かの糧になればいい。


日本の超大企業をやめて海外移住したぼくがよく聞かれる質問。


1.大企業を辞めたことを後悔していないか?

親は何も言わなかったけど、同僚や地元の友達にはめちゃくちゃ聞かれたのがこの質問。最後の送別会で親しかった先輩からも「後悔するときがくるかもしれないけど頑張れ」と言われた。

自分も歳を重ね家族を持ち、その言葉の意味と重みもわかるようなったけど、昔も今も自分の答えは変わらず「まったく後悔していない」。

確かに、学歴、キャリア、安定を約束された将来といったものは失ったけど、それらを捨てたことで得るものもあったし、得たものに満足しているから未練はない。でも、毎年、ボーナスの時期になると「あ、いいな」って一瞬思うけど。


2.会社辞めるの怖くなかった?

これは同期によく聞かれた。同じ環境で働く人間が、同じ時期に同じ疑問を抱き、同じことを考えてたってことだと思う。答えは、「正直怖かった」。

決断まで時間がかかった。担当していたプロジェクトを途中で抜けれないという事情もあったが、退職を考え始め実際に辞めるまで1年かかった。毎週末、近くのスーパー銭湯の露天風呂の岩の上で、「いつ辞めるんだろ?本当に辞めるのか?」の自問自答を繰り返していた。

結局は安定を捨てるのが怖かった。でも同時に、自分の中で「今行かないともう行けない」という危機感があったので、最終的には退職を決めた。

今、会社辞めることを考えている人がいるなら、安易に辞めることはすすめない。


3.10年たった今振り返って、若気の至りだっと思うか?

思う。その当時は、考え抜いた末に決断したつもりだったが、今振り返ればやはり考えが浅かった。今思えば、もっと考えるべきことがあったとも思えるし、辞めるにしてももっとうまい辞め方があった。収入を失うことの怖さ、安定の大切さは失ってはじめて身にしみた。

ただ、そう考える反面、考えが浅かったからこそ飛び出せたのだと思える自分もいる。やはり後悔はしていない。

 

4.なぜ転職じゃなくて海外移住なの?

当時は、勤務していた会社が何千億もの赤字を出してた時期で会社全体の雰囲気も暗かった。担当のプロジェクトもデスマーチの連発で、全てが荒んでいた。多くの同期・後輩が新天地を求め辞めていった時期だった。

会社への不満が最大の要因なら転職でよかったけれども、自分の場合はそうではなく、「このままレールの上でいいのか?」という疑問と、「海外に出なきゃ」という漠然とした焦りが最大の理由だった。だから海外移住しかなかった。

ちなみに、海外への気持ちを与えるキッカケは、会社の海外出張だったので皮肉なもの。あの出張がなければ、いまもパスポートすら持っていなかったかもしれない。29歳まで、海外旅行すらも興味がなかったのだから。


5.どうやって海外移住を決断したの?

死ぬ直前に、後悔のない人生だったと胸をはって言える人生でありたかった。

おそらく人生の幸せの価値は死ぬ直前に決まると思う。人生を終えるときに過去を振り返って、この人生で良かったなと思えれば、きっとそれは幸せな人生だったに違いない。逆に、なぜあのとき行動しなかったのか、なぜやりたいことをやらなかったのか、と後悔する人生はきっと不幸だろう。

10年前これを自問したとき、答えが「このままじゃ後悔する」だった。それまで長く同じ所をぐるぐる回って悩んでたが、この答えに達したとき一瞬で決断できた。

 

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6.海外移住っていうけど、英語はできたの?

サラリーマン時代はTOEIC650点くらい。仕事でアメリカに出張には行っていたが、現地支社のスタッフが通訳してくれていたので英語力はそれほど問われなかった。当時はビジネス英語はもちろん、簡単な会話ですらまともにできないレベル。受験英語の知識はあったがとにかく聞けない&喋れないだった。

この程度の英語力では海外での生活は厳しい。まして日本人は喋れない。海外生活で英語はできればできるほど有利だが、できなければできないほど困る場面が増える。

「行けばなんとかなる」的な考えは痛い目をみるので、海外挑戦を考えている人は渡航前に英語をがんばってほしい。


7.海外移住で必要だったものは?

上で述べた英語力、そして資金
単身で行くにしても最低2、300万は無いと現地でやりたいことができない。

現地で知り合ったワーホリの若者達の多くはとにかくお金が無かった。お金が無いから働くしかないが、働くにも英語ができないから仕事は選べない。だから、現地のジャパレスの皿洗いとか清掃員で目の前の生活費を稼いでその日暮らし。

若者の自分探し的な旅なら思い出作りでいいかもしれないが、目的がある海外移住なら資金がないのは無謀。

やる気があれば、行ってから何とかする、という精神論だけでは解決しないこともたくさんあるので、当面の生活資金を準備出来ていない海外移住は将来性がないので気をつけたい。


8.海外移住して良かった?何か得るものはあったの?

長期間の海外生活を通して、価値観という側面で自分の利益になるようなモノは多く得ることができたと思っているが、これらは他人に話しても利益にならない。目に見えるカタチで手に入れたモノといえば、「ニュージーランドの永住権」が最大の成果物。

ニュージーランドの永住権は他の国と違って失効しない。一度取ってしまえば、出入国、滞在の制限がない。また、ニュージーランド人と同等の社会保障も受ける権利があるので、人生の選択肢が増えた。将来の保険ができたと言ってもいい。日本に縛られることはない。


9.海外移住はオススメできる?

オススメしたい。実際、海外移住して失敗して帰国する人も多い。でも出来る限り多くの日本人が海外に移住すればいいなと思っている。一時的な移住でも賛成。

これは短絡的な海外万歳の西洋崇拝の意味ではなくて、長期間の海外生活によって得られるメリットが大きいという理由から。

英語力のスキルアップ、国際感覚を磨く、異文化に対する寛容性、グローバルな人脈作り、子供の教育などリターンの大きさが計り知れない。

明確なビジョンと準備があるなら、是非挑戦してほしい。もしあなたにメリットがなくとも、子供には大きな財産になる可能性がある。子供はきっと海外でイキイキする。

 

10.日本と海外、どっちがいい?

聞かれると答えに困るのがこの質問。「一概にどちらが良いとはいえない」と答えにならない答えをしている。

10年前の自分は、日本社会の閉塞感に嫌気がさして外の世界を見たくなった。だから飛び出した。

しかし、日本の良さは外から見てはじめて気づく。比較対象ができてはじめて良さがわかる。海外で不便な思い、理不尽な経験をしてこそ、日本の利便性の良さ、丁寧なサービス、モノの豊かさ、技術・クオリティの高さを改めて実感する。

また社会保障の面で見ても、国民皆保険制度を実現できている国はそうそう他にはない。膨らみ続ける医療費の問題は理解しているが、個人的にはこの部分に大きな恩恵を受けている為、日本人で良かったと思う。

逆にもちろん、海外で住むメリットもたくさんある。

 

どうだろう。
かなり長くなってしまったが、誰かの役にたったのであればまた書きたい。